規制値以下のカドミウムでも老化の原因に?

(2014年12月) "American Journal of Epidemiology" に掲載されたジョージ・ワシントン大学の研究によると、カドミウムという金属に少量であっても暴露することによって細胞の老化が早まる可能性があります。 規制値以下の血中濃度においても、カドミウム血中濃度の高さとテロメアの短さのあいだに強い相関関係が見られたのです。

今回の研究では、米国の成人 6,796人から採取した血液および尿のサンプルを用いて、遺伝子的な分析(ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))によりテロメアの長さを計測し、カドミウムの血中および尿中の濃度を計測しました。

そして、カドミウムの血中濃度に応じて 6,796人を4つのグループに分けて各グループのテロメアの長さを比較したところ、カドミウムの血中濃度が最も高いグループのテロメアは、血中濃度が最も低いグループのテロメアに比べて6%短くなっていました。

研究者は次のように述べています:
「カドミウム血中量が最も多いグループであっても血中に含まれるカドミウムの量はごく僅かでした。 それでもこのグループでは、歴年齢(生年月日に基づく形式的な年齢)に比べて細胞の年齢(肉体の実際の老化の度合い)が平均で11才老いていました」
今回の結果から、カドミウム血中濃度が現行の安全基準値以下の量であっても人体に有害となる可能性が示唆されます。

カドミウム血中濃度が最も高かったグループの血中濃度は不明ですが、6,796人全体ではカドミウム血中濃度の幾何平均が0.44μg/Lでした。

参考として日本の産業技術総合研究所の資料を見ると、1990年代から2001年にかけて行われた4つの研究では、日本人女性のカドミウム血中濃度の幾何平均がそれぞれ、1.98ng/ml、2.14ng/ml、1.90μg/L、2.54μg/Lという結果になっています。

(「ng」が「μg」の千分の1で「ml」も「L」の千分の1なので、数字を比較するうえで単位を換算する必要はありません)

今回の研究では、カドミウム以外に鉛の血中濃度とテロメアの長さの関係も調べましたが、カドミウムに見られたような関係は鉛には見られませんでした。

カドミウム血中量とテロメアの長さの関係にしても、今回の研究で示されたのは相関関係に過ぎず因果関係ではないので、今後の研究で両者の関係をさらに調査する必要があります。