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ドリップ式のコーヒーは2型糖尿病の予防に適さない?

(2017年8月) これまでの研究でコーヒーの飲用習慣により2型糖尿病のリスクが低下することが示されていますが、"Journal of Natural Products" に掲載されたオーフス大学(デンマーク)などの研究によると、コーヒーの成分であるカフェストールという物質に2型糖尿病を防ぐ効果が期待できる可能性があります。

しかし、このカフェストールはペーパーフィルターなど用いて淹れるドリップ式のコーヒーにはほとんど含まれていません。(詳細は後述)

研究の方法

2型糖尿病になりやすい品種のマウス47匹を次の3つのグループに分けて10週間飼育しました:
  • カフェストール1.1mgを含有するエサを食べるグループ
  • カフェストール0.4mgを含有するエサを食べるグループ
  • カフェストールを含有しないエサを食べるグループ

結果

10週間後、カフェストールを含有するエサを食べた2つのグループはカフェストールを含有しないエサを食べたグループに比べて、空腹時血糖値が28%30%低くなっていました。 同様の比較で、インスリンの分泌量も75%87%多くなっていました。

(グループ3に比べて)グループ1はさらに、空腹時血中グルカゴン値(*)20%低く、インスリン感受性が42%良好でした。
(*) グルカゴンは血糖値を上昇させるホルモン。

結論

研究チームは次のように結論づけています:
「マウス実験においてカフェストールに抗糖尿病作用のあることが示された。 コーヒー飲用習慣のある人の2型糖尿病リスクが低いのはカフェストールのおかげでもあるかもしれない。 糖尿病の治療薬にカフェストールを利用できる可能性もある」

カフェインか他の成分か?

コーヒーの代表的な成分といえばカフェインですが、コーヒーに備わる2型糖尿病予防の効果がコーヒーに含まれるカフェインのおかげなのか、それとも他の成分のおかげなのかは既存の研究からはよくわかりません。 カフェインが入った普通のコーヒーを飲む習慣がある場合にのみ2型糖尿病のリスクが低いという結果になった研究もあれば、カフェインを除去したコーヒー(デカフ・コーヒー)を飲む習慣がある場合にのみリスクが低いという結果になった研究もあります。

今回の研究ではカフェストールが糖尿病の抑制に有効であることが示されましたが、これまでの研究ではカフェインが血糖値に影響して糖尿病のリスクを減らすことも示されていますし、クロロゲン酸というコーヒーの成分も肥満抑制やインスリン抵抗性の軽減などの効果によって糖尿病の予防に寄与していると考えられています。 クロロゲン酸には強力な抗酸化作用と抗炎症作用も備わっています。

カフェストールについて

カフェストールはコーヒーに特有の脂質です。 生体外実験ではこれまでにも、カフェストールに血糖値降下を促進する作用のあることが示されています。 カフェストールは抗ガン効果も期待されていますが、コレステロールの血中濃度を上げる作用もあるようです。

カフェストールの効果的な摂り方

ドリップ式はNG

カフェストールはインスタント・コーヒーやドリップ式のコーヒー(紙や布のフィルターを用いて淹れる一般的なレギュラーコーヒー)にはあまり含まれていません。 カフェストールがフィルターに吸着されてしまってコーヒーの液体のほうにやって来ないのに加えて、普通に熱湯をかけるだけではカフェストールの大部分がコーヒー粉のほうに残ったままとなるためです。

とある研究によると、コーヒー粉に含まれるカフェストールのうち、12%がペーパー・フイルターに吸着され、87%がコーヒー粉の捨てガラに残り、コーヒーの液体に抽出されるのはわずか0.15%に過ぎません。

したがって、カフェストールの摂取を目的としてコーヒーを飲むのであれば、鍋でコーヒー豆を煮るギリシャ式コーヒー(トルコ・コーヒーとも呼ばれる)のようにコーヒー粉を煮込むタイプのコーヒーや、フレンチ・プレスを用いて淹れたコーヒーを飲むとよいでしょう。 こうしたコーヒーの飲み方では、フィルターを使用しないうえにコーヒーの成分も抽出されやすくなります。

ライト・ローストが良い

また、カフェストールはコーヒー豆の焙煎度合いが低いほど、コーヒーにおける含有量が高くなります(実用的ではありませんが生豆で含有量が最高です)。 カフェストールを摂取するには、深煎りよりも浅煎りのコーヒー豆を選ぶとよいでしょう。 クロロゲン酸も豆が深煎りになるほどに含有量が減ってゆきます。

豆は細挽きが良い

コーヒー粉の粒子のサイズが500μm未満であるとカフェストールの抽出効率が高まるというデータがあります。 500μmと言われてもピンときませんが、細挽きであるほど良いのでしょう。

コーヒーのカフェストール含有量

上述のように、コーヒーのカフェストール含有量はコーヒーの淹れ方やコーヒー豆の焙煎度合いなどにより異なります。

コーヒー飲料中におけるカフェストールの含有量が最も高くなるのは出来る限り浅く煎った豆からフレンチ・プレスを用いてコーヒーを抽出する場合で、コーヒー1杯(140cc)あたり13mgほどのカフェストール含有量が期待できます。 同じフレンチ・プレスでも、深煎りの豆だとカフェストール含有量が1杯あたり4mgまでに減ってしまいます。

特殊な器具を必要としないギリシャ式コーヒーであれば、最も浅い煎り方のコーヒー豆の場合で約5.8mg/1杯、最も深い煎り方の場合で約3.2mg/1杯の含有量となります。

ドリップ式コーヒーやインスタント・コーヒーのカフェストール含有量は微量で、1杯あたり0.02~0.5mg程度しか含まれていません。