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30%のカロリー制限で細菌感染に弱くなる

(2016年3月) "Journal of Experimental Medicine" に掲載された Fritz Lipmann Institute(ドイツ)の研究で、カロリー制限食によりマウスの幹細胞の老化速度が遅くなるけれども、免疫系が致命的に弱まるのでトータルでは長寿効果が期待できないという結果になりました。

これまでの研究
線虫(*)や、ショウジョウバエ、ネズミを用いた実験ではカロリー摂取量を制限するだけで寿命が50%ほども延びることが示されていましたが、その後に行われたサルの実験では同様の結果となりませんでした。
(*) カエノラブディティス・エレガンス(C. elegans)と呼ばれ、体長が1mmほどの原始的な動物。
今回の研究

今回の研究では、カロリー制限が造血幹細胞(赤血球やリンパ球を造る細胞)に及ぼす影響に注目しました。 造血幹細胞も他の成体幹細胞と同様に、細胞分裂のたびに機能性が低下(老化)します。 血液が失われたときなど大量に細胞を作り出す必要があるとき以外は造血幹細胞が休止状態にあるのもそのためです。

働かない造血幹細胞
マウスの摂取カロリーを30%減らしたところ、マウスがストレスを受けて本来ならば造血幹細胞が活性化するはずの場面でも造血幹細胞が依然として休止状態にありました。 それゆえに造血幹細胞の老化は全く進まず、カロリー制限食から1年後にも(*)造血能力は高水準に維持されていました。
(*) カロリー制限食から1年後にも - even one year after diet。 おそらく「カロリー制限食の期間が終わってから1年後にも」。
リンパ球の減少

その一方で、マウスの免疫系は壊滅状態に陥っていました。 カロリー制限によっても血球の総数はさほど減っていなかったのですが、免疫機能に必要とされるリンパ球に限って言えば75%も生産量が減っていました。 そしてその結果、マウスは特に細菌感染に弱くなっていました。

解説
カロリー制限によって特定の細胞あるいは組織の老化が実験環境下において鈍化するにしても、免疫機能が抑制されてしまうのでは実際の生存環境において生き延びることができません。