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カロリー制限 ⇒ オートファジー ⇒ β細胞の回復

(2015年10月) "Nutrition & etabolism" 誌に掲載された首都医科大学(中国)などの研究(マウス実験)で、1日あたりの摂取カロリーを大幅に減らして正常な水準にまで体重を落とすことでβ細胞(膵臓でインスリンを生産する細胞)の機能不全とインスリン抵抗性が好転(*)しグルコース恒常性が回復するという結果になりました。
(*) "reverse" を訳したもの。 "reverse" の定義は「何かの方向性や効果を劇的あるいは完全に変えること」というものです。 悪化を続けていたβ細胞の機能不全やインスリン抵抗性が快方に向かうという感じでしょうか。
研究の背景
肥満者や2型糖尿病患者においてカロリーをシビアに制限(*)することでβ細胞の機能不全が改善あるいは好転する例が存在しますが、比較的緩めのカロリー制限でも同様の効果を得られるかどうかは不明です。
(*) 複数の臨床試験で、2型糖尿病患者が400kcal/日を1週間続ける、500kcal/日を3週間続ける、あるいは600kcal/日を8週間続けることでインスリン関連の状態が改善されるという結果になっています。
また、β細胞の量・構造・機能の維持にはオートファジーが重要な役割を果たしていますが、カロリー制限がβ細胞のオートファジーに及ぼす影響(カロリー制限によるβ細胞への効果がオートファジーによるものかどうか)は不明です。
オートファジー
オートファジー(自食)は異常が生じたタンパク質や、傷んだミトコンドリア、細胞内に存在する病原体などを分解して再利用するためのシステムで、飢餓状態などエネルギーが不足したときに活性化することがあります。

そこで今回の研究では、食事により肥満させたマウスを用いた実験により緩めのカロリー制限がβ細胞とオートファジーの活性に及ぼす作用を調べました。

方法
高脂肪のエサにより肥満したマウスに普通のエサまたはカロリーを40%制限したエサを3週間にわたって与え、β細胞の形態・機能・オートファジー活性を調べて両方のグループ(いずれも20匹ずつ)の間で比較しました。
他にも次の3つのグループ(いずれも20匹ずつ)が存在します: ①ずっと高脂肪食のグループ、②ずっと普通のエサのグループ、③ずっとカロリー40%制限食のグループ。
結果
カロリー制限をしたグループ

高脂肪食ののちにカロリー制限食に切り替えたグループでは体重が正常範囲内に戻り、耐糖能・インスリン分泌(第一相および第二相)・膵島のサイズが完全に回復しました。 また、マウスから採取した膵島を生体外で調べたところ、カロリー制限をしたグループではインスリンの成分とグルコースの刺激によるインスリン分泌が正常になっていました。

カロリー制限をしたグループではβ細胞のオートファジー活性が増加していましたが、AMPKのリン酸化に変化はありませんでした(AMPKの活性を伴わずにβ細胞のオートファジーが活性化した)。
AMPK
AMPKとはAMP活性化タンパク質キナーゼのことで、エネルギーを感知して細胞の代謝を調節してエネルギー恒常性を維持するのに重要な役割を果たしています。 グルコース(ブドウ糖)が枯渇するとAMPKがオートファジーを促進することが知られています。

オートファジーが貧栄養状態において活性化されることから、高脂肪食からカロリー制限食に切り替えたことで突如としてエネルギー不足に陥ったためにβ細胞のオートファジーが活性化した可能性が考えられます。 そしてオートファジーがβ細胞に有益な作用をもたらすことから、カロリー制限によるβ細胞機能の回復にはオートファジーが関与している可能性が考えられます。

普通のエサのグループ

高脂肪食から普通のエサへと切り替えたグループでも体重がそこそこ減り耐糖能も正常になっていましたが、ずっと高脂肪食を続けたグループに比べてもインスリン分泌は改善していませんでした。 β細胞のオートファジーも活性化しませんでした。

結論
研究チームは次のように結論付けています:
「2型糖尿病の初期ステージにある肥満者の場合にはβ細胞の機能不全がまったくもって好転可能であるかもしれない。 β細胞の機能不全が好転するプロセスにはオートファジーが関与している可能性がある」