カロリー制限 ⇒ オートファジー ⇒ β細胞の回復 (2/2ページ)

方法
高脂肪のエサにより肥満したマウスに普通のエサまたはカロリーを40%制限したエサを3週間にわたって与え、β細胞の形態・機能・オートファジー活性を調べて両方のグループ(いずれも20匹ずつ)の間で比較しました。
他にも3つのグループ(いずれも20匹ずつ)が存在します: ずっと高脂肪食のグループ、ずっと普通のエサのグループ、ずっとカロリー40%制限食のグループ。
結果
カロリー制限をしたグループ

高脂肪食ののちにカロリー制限食に切り替えたグループでは体重が正常範囲内に戻り、耐糖能・インスリン分泌(第一相および第二相)・膵島のサイズが完全に回復しました。 また、マウスから採取した膵島を生体外で調べたところ、カロリー制限をしたグループではインスリンの成分とグルコースの刺激によるインスリン分泌が正常になっていました。

カロリー制限をしたグループではβ細胞のオートファジー活性が増加していましたが、AMPKのリン酸化に変化はありませんでした(AMPKの活性を伴わずにβ細胞のオートファジーが活性化した)。
AMPK
AMPKとはAMP活性化タンパク質キナーゼのことで、エネルギーを感知して細胞の代謝を調節してエネルギー恒常性を維持するのに重要な役割を果たしています。 グルコース(ブドウ糖)が枯渇するとAMPKがオートファジーを促進することが知られています。

オートファジーが貧栄養状態において活性化されることから、高脂肪食からカロリー制限食に切り替えたことで突如としてエネルギー不足に陥ったためにβ細胞のオートファジーが活性化した可能性が考えられます。 そしてオートファジーがβ細胞に有益な作用をもたらすことから、カロリー制限によるβ細胞機能の回復にはオートファジーが関与している可能性が考えられます。

普通のエサのグループ

高脂肪食から普通のエサへと切り替えたグループでも体重がそこそこ減り耐糖能も正常になっていましたが、ずっと高脂肪食を続けたグループに比べてもインスリン分泌は改善していませんでした。 β細胞のオートファジーも活性化しませんでした。

結論
研究チームは次のように結論付けています:
「2型糖尿病の初期ステージにある肥満者の場合にはβ細胞の機能不全がまったくもって好転可能であるかもしれない。 β細胞の機能不全が好転するプロセスにはオートファジーが関与している可能性がある」