アスピリンでガンの免疫療法の効果が劇的に増加?

(2015年9月)"Cell" 誌に掲載された研究によると、ガンの免疫療法にアスピリンを併用するのが有効かもしれません。

皮膚・乳房・腸のガン細胞がときとしてプロスタグランジンE2(PGE2)と呼ばれる分子を大量に生産することが明らかになったのです。

解説
PGEとアスピリン

PGE2は免疫系が欠陥のある細胞に反応して攻撃するのを抑制します。 ガン治療に免疫療法が効かない理由の1つとして、ガン細胞がPGE2の助けを借りて免疫系の監視の目を逃れ増殖している可能性が考えられます。

アスピリンはCOX阻害薬の一種で、PGE2の生産を停止させて免疫系を再起動させる作用があります。 これまでの研究では、アスピリンなどのCOX阻害薬を免疫療法と併用することにより、免疫療法を単独で用いる場合に比べて腸ガンとメラノーマ(皮膚ガン)の成長が相当に遅くなることがマウス実験で示されています。

コメント
研究者は次のように解説しています:
「今回の研究により、一部のガンが免疫系から逃れるためにPGE2を生産しているという可能性が強まりました。 ガン細胞のPGE2生産能力を奪うことができれば、ガン細胞を免疫系から保護しているバリヤを除去して免疫系の攻撃力を最大限に発揮させられることでしょう。 アスピリンなどのCOX阻害薬を免疫療法と同時に用いることで、治療効果に大きな差が生じるかもしれません」
今回の研究に資金を提供した Cancer Research UK という団体に所属する研究者は次のように述べています:

「PGE2は体内の様々な細胞に作用します。 今回の研究によれば、そのような作用の1つが免疫系に『ガン細胞を無視しろ』という指示を出すことであると思われます。 ガン細胞がPGE2を作れないようにすれば、免疫系は『殺戮モード』に戻って腫瘍を攻撃するようになります」

「この研究はマウス実験だったため、ガン患者の実際の治療にCOX阻害薬が用いられるようになるにはまだ時間がかかります。 しかしながらCOX阻害薬の併用が実用化されれば、様々な種類のガンの治療効果が簡単かつ劇的に改善されると期待されます」