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ガンによる疲労感を軽減するには薬よりも運動

(2017年3月) "JAMA Oncology" に掲載されたロチェスター大学の研究(メタ分析)によると、ガン患者に見られる疲労感の軽減には薬よりも運動が効果大です。

メタ分析の方法

疲労感が生じているガン患者を被験者として運動や心理療法(*)の効果を調べた113の研究(いずれも臨床試験)のデータを分析しました。

113の研究のデータに含まれる人数は合計1万1千人超で、このうちの半分近くが乳ガンの患者でした。
(*) ガンに伴う疲労感に関する情報を提供したり、自分の境遇の捉え方について考えさせたりする。
結果

①運動だけ、②心理療法だけ、③運動&心理療法という3種類のなかで、運動だけというのが疲労感の軽減に最も効果的でした。

運動または心理療法

有酸素運動(ジョギングやウォーキングなど)でも無酸素運動(筋力トレーニング)でも、疲労感が軽減されていました。 心理療法でも疲労感が軽減されていました。

運動および心理療法

ところが、運動と心理療法を組み合わせた場合については、疲労感が軽減されるという結果になった研究と軽減されないという結果になった研究が混在していました。 運動と心理療法をどのように組み合わせれば効果的であるのかが現時点では不明だということになります。

ガン患者に診られる疲労感の軽減に、薬(*)は運動や心理療法ほど効果的ではありませんでした。
(*) ナルコレプシーの治療に用いられるモダフィニルという薬や、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療に用いられるリタリンという薬など。 どちらも中枢神経を興奮させる作用がある。
解説
ガン患者の疲労感

ガン患者に生じる疲労感は尋常ではなく、しかも休んだり眠ったりしても解消されません。 そうした疲労感が数か月から数年間も続くことがあります。

このような疲労感は、ガンという病気それ自体あるいはガン治療がもたらす慢性的な炎症が原因であると考えられています。

疲労感はガン患者の生存率にも影響しかねません。 疲労感のためにガンの治療を中断してしまうことがあるためです。

コメント
ロチェスター大学の研究者は次のように述べています:
「疲労感で困っているのであれば、コーヒーを飲む量を増やしたり、昼寝をしたり、薬を飲んだりするよりも、15分間ほど散歩に出かけることを検討してみましょう」

"Brain, Behavior and Immunity" 誌(2017年1月)に掲載されたカリフォルニア大学サン・ディエゴ校の研究によると、炎症を抑えるための運動は激しいものである必要はなく、速いペースで歩くなど中程度の激しさの運動を20~30分続けるだけで十分です。

ガンと運動

これまでの研究では、運動により色々なガンの生存率が向上したり、化学療法の副作用が緩和されたりすることが示されています。

運動によってガン細胞へ届けられる酸素の量が増えて化学療法や放射線療法の効果が増大するという研究(マウス実験)や、運動により分泌されるイリシンというホルモンが乳ガンの細胞を細胞死に導くという研究(細胞実験)もあります。