生検でガンが散らばることはない; 生検で生存率が上昇する

(2015年1月) 以前から一部の患者や医師のあいだで細針生検によってガンが拡散すると言われてきましたが、"Gut" 誌オンライン版に掲載された Mayo Clinic(米国)の研究によると、ガンの生検によってガンが広がることはありません。 細針生検を受けた患者のほうが、そうでない患者よりも転帰(結果)が良好で生存期間も長かったのです。

細針生検とは
細針生検は、中空構造になった細い針を体に刺し込んで腫瘍組織から2~3の細胞を抜き出すという生検技法で、患者への負担は最小レベルで済みます。
研究の概要

Mayo Clinic で 1998~2009年の間に非転移性の膵臓ガンの手術を受けた患者のデータを調べました。 データに含まれていたのは、超音波ガイド下穿刺吸引("EUS-FNA" 超音波を用いて行われる細針生検)による生検を受けた患者498人と生検を受けなかった患者 1,536人でした。

21ヶ月の追跡期間中における死亡率は、EUS-FNAを受けたグループで57%(285人)、受けなかったグループで76%(1,167人)でした。 死因を膵臓ガンに限った場合の死亡率は、50%(251人)と64%(980人)でした。

生存期間の中央値は、EUS-FNAを受けたグループで22ヶ月、受けなかったグループで15ヶ月でした。

同じ研究チームが 2013年に行った研究("Endoscopy" 誌に掲載)では、EUS-FNAによって膵臓ガンの再発リスクは増加しないという結果になっています。 こちらの研究では、膵臓ガン患者256人(このうちEUS-FNAを受けたのは208人)の転帰を調査しました。
解説
生検によってガンが拡散する可能性を示唆する報告がこれまでに2~3件存在しますが、研究者によると、そのような心配は無用です:

「今回の研究により生検が非常に安全であることが示されたので安心してください。 わずかに1つか2つの症例研究のために『生検でガンが広がる』という迷信が広まりましたが、米国では年間に数百万件もの生検が行われています」

「生検を行うことで、患者個人に合った適切な治療方針を決定するのに必要な貴重な情報を入手できます。 例えば、『手術の前に化学療法と放射線療法を行えば良い』とか、場合によっては『手術も化学療法も放射線療法も回避できる』といった判断を、生検で得られる情報に基づいて行うことができるわけです」

「膵臓ガンの手術をした患者の9%で腫瘍が良性のものだったという結果になった研究がありますが、膵臓ガンの手術は非常に大きな手術となるので、手術を行う前に膵臓の腫瘍が悪性のものであることを確認しておくのが合理的です」
今回の研究は膵臓(すいぞう)ガンの患者を対象に行われましたが、この結果は他のガンにも当てはまると思われます。 今回の研究で用いられた生検の技法(細針生検)が様々なタイプの腫瘍の検査に幅広く用いられるものだからです。