唐辛子の成分カプサイシンがもたらすのは偽の満腹感

(2016年3月) 唐辛子の成分であるカプサイシンは満腹感を引き起こしてカロリー摂取量を減らす作用があると言われていますが、"American Journal of Clinical Nutrition" に掲載されたオランダの研究によるとカプサイシンにより引き起こされる満腹感は偽の満腹感だと思われます。出典: Capsaicin-induced satiety is associated with gastrointestinal distress but not with the release of satiety hormones

研究の方法

研究チームは「カプサイシンにより満腹感が引き起こされるのは、カプサイシンにより食欲を抑制する作用を持つグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)やペプチドYY(PYY)といった消化管ホルモンが小腸から放出されるためである」と考え、この考えの正しさを確認するために13人の男女を被験者とするクロスオーバー試験を行いました。

試験では、13人(平均年齢21.5才、平均BMI22.8)を2つのグループに分けて、一方のグループにはカプサイシン1.5mgを、そしてもう一方のグループにはプラシーボ(この試験では生理食塩水)を30分かけて十二指腸内投与(*)しました。
(*) 鼻から十二指腸までチューブを差込み、口腔を経ずにカプサイシンまたは生理食塩水を十二指腸に直接送り込んだ。
そして、被験者の空腹感・満腹感・胃腸症状の測定と血液検査(GLP-1とPYYの血中濃度を調べるため)を行いました。
クロスオーバー試験ということなので、別の日にカプサイシンのグループとプラシーボのグループを入れ替えて同じことを繰り返したのでしょう。
結果

カプサイシンを投与されたグループではプラシーボのグループに比べて、満腹感と同時に胃腸症状(痛み・灼熱感・吐き気・膨満感)も増加していました。 そして胃腸症状がひどいと満腹感も大きいという関係が見られました。

さらに、カプサイシンを投与されたグループとプラシーボのグループとでGLP-1とPYYの血中濃度に差がありませんでした。

結論
研究チームの当初の考えとは裏腹に、カプサイシンがもたらす満腹感は満腹感のホルモンが増加することによる本物の満腹感ではなく、カプサイシンが胃腸を刺激するために生じる偽の満腹感であると思われます。
カプサイシンの満腹感効果は本物ではないかもしれませんが、カプサイシンは白色脂肪の褐色化をうながしてカロリー燃焼を促進する効果が期待されています。