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カプサイシンが大腸ガン予防に効果?

(2014年8月) "The Journal of Clinical Investigation" に掲載されたカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究によると、トウガラシに含まれるカプサイシンという辛味の成分により大腸ガンのリスクを減らせるかもしれません。

感覚ニューロン(神経)には "TRPV1" という受容体が備わっていて、熱・酸・辛味など細胞にとって有害となる可能性のある刺激を感知しますが、今回の研究により、この TRPV1 が腸内の表面にも存在することが明らかになりました。

腸に存在する TRPV1 は上皮細胞成長因子受容体(EGFR)により活性化されます。 EGFR は腸における細胞分裂(細胞の入れ替わり)促進に深く関わっています。

この EGFR は、腸の細胞交代が正常に行なわれるのに必要とされますが、EGFR からのシグナル伝達が野放しにされると散発性の(ガンの遺伝的な要因が無いのに発生する)ガンが生じるリスクが増加します。

TRPV1 が EGFR を抑制
研究グループはマウス実験により、腸に存在する TRPV1 が EGFR によって活性化された後に EGFR に向けて負のフィードバックを開始して EGFR(のシグナル伝達)を抑制することで、(腸の細胞が)望ましくない成長を遂げたり、腸の腫瘍が発生したりするリスクが低下することを明らかにしました。 TRPV1 を持たないように遺伝子改造されたマウスでは、腸の腫瘍が成長する率が増加していました。

この結果から、腸の表面に存在する TRPV1 に腸の腫瘍を抑制する作用があると考えられます。 現時点では、TRPV1 の欠如がヒトにおいても大腸ガンのリスク要因となることを直接的に示すエビデンスは存在しませんが、最近行なわれた他の研究では、ヒトの大腸ガン組織においても TRPV1 に関連する遺伝子に複数の変異が存在することが明らかにされています。

カプサイシンが TRPV1 を活性化?
この研究ではさらに、遺伝子改造により胃腸菅に腫瘍が発生し易くされたマウスにカプサイシンをエサとして与えるという実験も行ないました。 その結果、カプサイシンを与えられたマウスは(与えられなかったマウスに比べて)腫瘍量(ガン細胞の数や腫瘍の大きさ)が減り、寿命が30%延びました。

カプサイシンのこの効果は、セレコキシブと組み合わせることで増幅されました。 セレコキシブは鎮痛作用のある抗炎症薬で、関節炎などの治療に用いられているだけでなく、ガンを予防する効果も期待されています。

今回の結果から、再発性の腸腫瘍のリスクが高い患者では、TRPV1 を恒常的に活性化させておくことが有益である可能性が示唆されます。