- 糖質の摂取量が多すぎても少なすぎても死亡リスクが増加する。
- 糖質の摂取量が少なすぎる場合には、糖質の代わりに何を食べるかにより死亡リスクが異なる。
研究の方法
カロリー摂取量が極端でない(*)45~64才の米国人男女 15,428人を対象に、食生活に関するアンケート調査を行ったのち25年間前後にわたり生存状況を追跡調査しました。
(*) 1日の摂取カロリーが、男性は600kcal~4,200kcal、女性は500kcal~3,600kcalの範囲内にある。
また、今回のデータをこれまでに行われた7つの前向き研究(追跡研究)のデータと組み合わせたメタ分析も行いました。
結果
今回のデータ
追跡期間中に 6,283人が死亡しました。 カロリー摂取量に糖質が占める割合(以下「糖質で摂るカロリー」と言う)は平均48.9%でした。
糖質で摂るカロリーと死亡リスクとの関係を示すグラフはU字型でした。 糖質で摂るカロリーは、50~55%のときに死亡リスクが最低で、この数字がそれよりも大きくても小さくても死亡リスクが増加していたのです。
メタ分析
今回のデータと以前に行われていた7つの研究のデータとを組み合わせたメタ分析(データに含まれる人数は合計で43万人超、死亡件数は4万件超)でも同様に、糖質で摂るカロリーと死亡リスクとの関係を示すグラフはU字型となりました。
糖質で摂るカロリーが40%未満の場合には死亡リスクが20%増加し、糖質で摂るカロリーが70%超の場合には23%増加していました。
今回のデータとメタ分析のグラフ

グラフの読み方
- 糖質で摂るカロリーが46.4%の場合を基準として死亡リスクを比較。
- 横軸が糖質で摂るカロリーで、縦軸が死亡リスク。
- 赤いラインが今回のデータの結果で、青いラインはメタ分析に使われた7つの研究のうちの1つで「PURE」と呼ばれる研究の結果(この種のグラフに使えるデータがあったのが7つのうちでPUREだけだった)。 PURE(2017年に記事にしている)では18ヶ国に住む13万5千人超(平均年齢50才)の生存状況を7.4年間前後にわたり追跡調査した。
- 赤や青の帯状のエリアは赤のラインと青のラインそれぞれの95%CI値の範囲で、これが横軸の点線のラインにかかっていると「統計学的に有意ではない」とみなされる。
- 例えば赤色では、糖質で摂るカロリーが多い場合には赤いエリアが横軸の点線にかかっていることが多いので、糖質で摂るカロリーが極端に多い(80%以上)のでもない限り46.4%の場合に比べて死亡リスクが統計学的に有意には増加していないが、糖質で摂るカロリーが少ない場合には赤いエリアが横軸の点線にかかっていることが少なく、糖質で摂るカロリーが40%とすこし少ない程度でも死亡リスクが統計学的に有意に増加している(青色では微妙)。
糖質の代わりに食べるものが重要
糖質で摂るカロリーが少ない場合に糖質の代わりに何を食べるかによって死亡リスクが異なっていました:- 糖質の代わりに動物(鶏肉を含む)由来の脂質やタンパク質を食べる場合には、死亡リスクが18%増加していた。
- 糖質の代わりに食べる食品(脂質やタンパク質)が植物性(野菜・ナッツ類・全粒穀物など)である場合には、(糖質で摂るカロリーが少なくても)死亡リスクが18%低下していた。