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炭酸飲料の刺激は二酸化炭素の泡ではなく酸によるもの

(2013年8月) "PLOS ONE" に掲載された研究により、炭酸飲料を飲んだときに感じる刺激は、炭酸の泡ではなく酸によるものであることが明らかになりました。

ただし、炭酸の泡にも意味が無いわけではなく、泡が触覚に接触するときの軽い感触によって刺激を強めるという作用があります。

炭酸飲料と二酸化炭素

炭酸飲料を作るときには、強い気圧をかけることで二酸化炭素を液体に溶け込ませます。 ミネラル・ウォーターの中には、この作用が自然に行われることで炭酸飲料になっているものがありますし、ビールなどの発泡性のお酒では、発酵の過程で微生物の作用により二酸化炭素が液体中に作られます。

日本酒やワインも最初は炭酸飲料
日本酒やワインなど(蒸留酒以外のお酒)も造られたばかりのときには発泡性の飲み物です。 いずれもビールと同様に、アルコールを作り出す微生物(酵母菌)の作用により、液体中に高濃度の二酸化炭素が作られるのです。 市販されている日本酒やワインに発泡性が無いのは、出荷前に二酸化炭素を抜くためです。

炭酸飲料の缶やボトルを開封すると容器内の圧力が弱まるために液体に溶け込んでいた二酸化炭素の一部が放出され、それが泡となって出てきます。

炭酸飲料を口に含むと、液体中に残っている二酸化炭素は口の中に存在する酵素によって炭酸へと変化します。 この炭酸によって感覚神経の末端が作動し、軽い刺激を信号として伝えます。 これが炭酸飲料を飲んだときに感じる刺激だというわけです。

炭酸の刺激は化学的なもの

研究グループは、炭酸の刺激において泡が果たす役割を調べるために、一定以上の高気圧(例えば、開封前のボトルや缶の気圧)の下では炭酸飲料の泡が生じないという性質を利用しました。 12人の健康な成人に、通常の気圧下(泡が出る)および高気圧室内(室内の気圧が水深1mに匹敵する気圧に保たれ、泡が出ない)の両方で、二酸化炭素の濃度が様々に異なる数種類の炭酸飲料の刺激の強さを評価してもらい、その結果を比較したのです。

その結果、2種類の気圧下において(つまり泡が出ようと出まいと)、炭酸飲料で感じる刺激の強さに違いはありませんでした。

研究者は次のように述べています:
「被験者たちは、泡が出ないときも、泡が出るときと同様の刺激を感じました。 したがって、炭酸飲料を飲んだときに感じる刺激は物理的なものではなく、酸による化学的な刺激であることは明確です」
炭酸飲料の泡の役目

研究グループは次に、炭酸飲料における泡の役目を調べる実験を行いました。 この実験では、普通の炭酸水と、(純粋な二酸化炭素ではない)空気の泡を増量した炭酸水を11人の成人に飲み比べてもらいました。

その結果、空気の泡によって炭酸飲料の刺激が強くなっていました。 これはおそらく、泡が触覚を刺激するためだと考えられます。

泡による刺激ではないのに二酸化炭素が抜けると刺激が失われる理由

二酸化炭素には液体を酸性にする作用があるので、炭酸飲料が強い酸性になっているのも二酸化炭素のためです。 したがって、炭酸飲料の刺激が酸によるものであっても、炭酸飲料の刺激は、やはり二酸化炭素によるものなのです。

このように二酸化炭素のおかげで炭酸飲料が酸性になっているわけですから、炭酸飲料中の二酸化炭素が減少すると、酸性度も減少します(酸が失われる)。 今回の研究によると、炭酸の刺激は酸に由来するということですから、気の抜けた炭酸飲料で刺激が減るのは、炭酸飲料から二酸化炭素が逃げたことによって泡が失われるからではなく、酸が失われるためだと言う訳ですね。

この研究の利用方法

この研究によると炭酸飲料の刺激を強くしたいときには、レモン果汁やビネガーなど酸性のものを追加すれば良いということになります。 コーラにレモンとか合いそう。 歯が溶けそうなので私はやりませんけど。

スプライトはコカコーラの3倍も歯が溶けやすい」によると、コーラよりもレモンの方が歯に悪いと思われます。 コーラにレモンを入れると、二酸化炭素とレモンの酸の相乗効果でコーラやレモンジュースを単体で飲むときよりもpHが恐ろしく低くなるのではないでしょうか。

ウィルキンソンのジンジャーエールは凄く刺激が強いですが、あれは二酸化炭素以外に酸性の物質が添加されているのかも。 調べたところ、生姜(ジンジャー)はアルカリ性のようですけど。