炭水化物と大腸ガンの関係には腸内細菌が関与していた

(2014年7月) 炭水化物の摂取量が多い(食事の半分ほどを占める)西洋型の食事をしていると結直腸(大腸)ガンのリスクが増加することが知られていますが、"Cell" 誌に掲載されたトロント大学の研究によると、両者のあいだに腸内細菌が関与していると思われます。

この研究で行われたマウス実験において、遺伝子的に大腸ガンになりやすいマウスでは、腸内細菌が食事に含まれる炭水化物を代謝することによって腸の細胞が分裂して腫瘍を形成していたのです。

このようにして形成された腫瘍は、抗生物質または低炭水化物食により有意に減らすことが出来ました。 したがって、ヒトの一般的な大腸ガンの予防にも抗生物質または低炭水化物食が有効かもしれません。

研究の概要

この研究では、APC および MSH2 という遺伝子変異体を有していて大腸ガンになりやすい体質のマウスを用いた実験を行ないました。

抗生物質または低炭水化物食によって、炭水化物を代謝して酪酸塩(酪酸エステル)という脂肪酸の一種を生み出す腸内細菌の数が減少し、マウスの小腸および結腸における細胞分裂および腫瘍の数が減りました。 そして、抗生物質で処置したマウスの酪酸塩を増やすと、小腸における細胞分裂と腫瘍の数が増えました。

これらの結果から、遺伝的に大腸ガンになりやすいマウスでは、腸内細菌によって作り出される炭水化物派生物が異常な細胞の分裂と腫瘍の発達を促進するのだと考えられます。

参考までに「腸内細菌の状態も大腸ガンのリスク要因?」には「酪酸塩に結腸の炎症と発ガンを抑制する作用がある」とあります。