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くん製の食品や、コーヒー、お茶に発がん性物質?

(2013年4月)ジョンズ・ホプキンス大学が行った研究によると、熏液("くんえき"。ソーセージなどに燻製の風味を出すために使われる液体)、紅茶、緑茶、およびコーヒーにより、p53 という遺伝子が活性化されます。

p53 遺伝子は DNAが傷ついたときに活性化され、その遺伝子産物(遺伝子から転写される機能性RNAと、さらに転写物のmRNAから翻訳されるタンパク質の総称)がDNAを修復するタンパク質を生産します。 このため、DNAの損傷が多いほど、活性化される p53 の量が増加します。

研究グループが熏液、紅茶、緑茶、およびコーヒーをヒト細胞と混ぜるという実験を行ったところ、p53 の活性が30倍近くにも増加しました。 この30倍という数字は、精巣ガンや一部の肺ガンなどの治療に用いられるエトポシドという抗がん剤(抗がん剤は健康な細胞にとっても毒なので)により引き起こされる p53 の活性と同レベルです。

熏液でDNAが傷付くというのは、過去の複数の研究で動物実験によって示されていましたが、今回の研究では、熏液の成分のうち p53 の活性を引き起こしているのが主に、ピロガロール(焦性没食子酸)と没食子酸であることを突き止めました。 ピロガロールは燻製の食品やタバコの煙を始めとして、髪染め剤、お茶、コーヒー、パンの耳(つまり焦げた部分)、ロースト・モルト(ビールの原料)、ココア・パウダーなどにも含まれます。 没食子酸は、お茶とコーヒーに含まれます。

ちなみに研究者によると、スモーキーなフレーバーが特徴で薫液の代わりに用いられることも有るスコッチ・ウイスキーでは、不思議と p53 があまり活性化しませんでした。 オイスターソース、タバスコ、醤油、味噌、ワサビ、黒豆ソース、キムチなどでも、p53 の活性があまり見られませんでした。 醤油も味噌も発酵食品だから、植物が作った化学物質は分解されてそうですね。

研究者は次の趣旨のことを述べています:
「植物に含まれる多くの化合物は、植物がヒトや動物に食べられないように作り出したものです。 例えば、茎に含まれるセルロースは植物体を硬く、食べ難くします。 お茶の葉やコーヒー豆に含まれるタンニンにしても、植物が苦味によって食べられないようにした結果です。 植物に含まれる化合物は本来、植物を食べる動物を退けるためのものなので、動物にとって有害であってもおかしくないのです」
ただし、この研究者は(大体におい)て次のようにも述べています:
「植物が(セルロースやタンニンなどの)化合物を作るようになったのは、主として動物に自分が食べられないためです。 したがって、このような化合物が動物にとって毒であるのも当然ですが、植物を食べる動物にしても、その毒に対処できるように進化してきたわけです。 その結果、本来は毒であるはずのものを栄養として摂取できるようになったわけです」
この話を聞くと、ユーカリの樹とコアラの関係を思い出しますね。 ユーカリの樹には毒があるそうで。 しかし、それはそれとして、薫液やタバコの煙などで p53 の活性が増加するのも事実なわけですが、彼はさらに概ね次のような感じで続けています:

「ピロガロールと没食子酸により引き起こされる(DNAの)異常の程度と、影響を今後調べてみないと明確なことは言えませんが、このような異常は p53 で完全に治すことのできるものなのかもしれません。 だとすれば、(p53 の活性の著しい増加は)心配には当たりません。

逆に、ピロガロールと没食子酸が引き起こしているのがDNAの大規模な消去やDNAの構造的な損傷である可能性も否定できませんが...」