心肺機能が高いと一部のガンのリスクが低下

(2017年3月) "Cancer Medicine" 誌に掲載されたオスロ大学病院などの研究によると、心肺機能が高い人は一部のガンになりにくい可能性があります。出典: Cardiorespiratory fitness and risk of site-specific cancers...

研究の方法

40~59才の健康なノルウェー人男性 1,997人の心肺機能をエアロバイクを用いて測定したのち、40年間近くにわたりガンの発症状況を追跡調査しました。

そして、心肺機能に応じてデータを3つのグループに分け、グループ間で各種のガンのリスクを比較しました。 データの分析においては、年齢・太り具合・喫煙習慣を考慮しました。

結果

追跡期間中に758人がガンになりました。

心肺機能が最低のグループに比べて最大のグループは、肺ガンが61%、膵臓ガンが68%、そして膀胱ガンが60%、それぞれ発症リスクが低くなっていました。

近位結腸ガンについては、心肺機能が中程度のグループでリスクが70%低くなっていました(心肺機能が最大のグループでもリスクが下がっていたが、統計学的に有意な結果ではなかった)。

その他のガン(口腔・食道・胃・遠位結腸・直腸・肝臓・胆道・前立腺・腎臓・皮膚のガンや白血病など)については、心肺機能と発症リスクとの間に関係が見られませんでした。
今回の結果は、これまでに行われた類似研究の結果と合致します。
留意点
今回の研究には次のような弱点があります:
  • データに含まれる人数が比較的少ない。
  • 追跡期間が長いのに心肺機能やガンのリスクに影響する要因を追跡開始の時点に1度測っただけなので、追跡期間中における変化を考慮できていない。
  • 食生活や飲酒量、社会経済的状態(収入・職業・学歴など)を考慮していない。
解説
肺ガン

心肺機能が高い人は肺が発ガン性物質にさらされることが少ないので肺ガンになりにくいのかもしれません。 また、心肺機能は有酸素運動によって向上しますが、有酸素運動により肺組織で免疫細胞が増加しガンを抑制する環境が整うことがマウス実験で示されています。

膵臓/膀胱ガン

運動にはインスリン抵抗性を防いだり食べた物が消化管を通過するのに要する時間を減らしたりする作用がありますが、こうした作用が胆汁の分泌や膵臓の活性に好影響を及ぼしている可能性があります。 また膀胱ガンについては、運動で肥満が防がれるためにリスクが低下しているという可能性も考えられます。

近位結腸ガン
研究チームは、心肺機能が高い場合に近位結腸ガンのリスクが下がる理由に触れていません。「今回の研究で食生活も飲酒習慣も考慮していない点に注意が必要である」と述べています。