虫歯菌が口や喉のガンを防いでくれる?

(2013年9月) 口の中が不潔だと喉のガンになるリスクが増加するという話がありますが、"JAMA Otolaryngology -- Head & Neck Surgery" に掲載された研究によると、虫歯菌が頭頸部扁平上皮ガン(HNSCC)のリスクを減らしてくれる可能性があります。 HNSCC は、口・鼻・咽頭・喉頭などの粘膜に発生するガンのことで、頭頸部のガンの約90%が HNSCC です。

研究の方法

今回の研究では、HNSCC の患者399人を221人の健康な人たちと比較しました。 これら620人を、虫歯の量に応じて三等分して分析したところ、虫歯数上位1/3のグループでは、虫歯数下位1/3のグループと比べて、HNSCC のリスクが減少していました。

結果

虫歯数の上位1/3のグループと下位1/3のグループとの比較において、未治療の虫歯数では上位1/3のグループで HNSCC が68%減(OR, 0.32 [95% CI, 0.19-0.55]; P for trend = .001)、被せ物(crowns)をした歯の数では上位1/3のグループで54%減(OR, 0.46 [95% CI, 0.26-0.84]; P for trend = .03)、歯内(歯の内部)の治療をした歯の数では上位1/3のグループで45%減(OR, 0.55 [95% CI, 0.30-1.01]; P for trend = .15)でした。 詰め物をした歯の本数や、残っている自前の歯の本数は、HNSCC のリスクとの関係が見られませんでした。

これらはいずれも、年齢・性別・婚姻状態・喫煙・飲酒習慣などの要因を考慮した後の数字です。

研究者のコメント

今回の結果に基づき研究グループは、虫歯の原因となる乳酸菌が頭部(口と咽頭のことでしょう)に存在する粘膜の表面を保護している可能性があるとしています。

ただし他の専門家によると今回の研究には、①データの人数が少ない、②現在の虫歯本数しか考慮していないなどの不備があります:
「若い頃に歯を失う原因は虫歯や外傷(事故で歯が折れる)ですが、年を取ってから歯を失う原因は歯周病です。 この研究では、この辺りのことが考慮されていません」
過去の類似研究
過去の研究で、口内細菌が「Th1 細胞応答」と呼ばれる免疫反応を誘発することが示されていますが、この Th1 細胞応答にガンのリスクを低減する効果があると考えられています。 逆に歯周病の原因菌がガンのリスク要因でもあるとする研究もあります。