鬱病の治療開始前に有効な治療法を脳スキャンで判定

(2013年6月) "JAMA psychiatry" に掲載された研究で、鬱病患者に薬物療法と会話療法のいずれが効果的であるのかを脳スキャンで判別できる可能性があります。

研究の方法

この研究では、65人の鬱病患者を2つのグループに分け、3ヶ月間にわたって、一方のグループには鬱病の薬レキサプロ(10~20mg)を服用してもらい、もう一方に対しては認知行動療法(CBT)という鬱病向けの会話療法(最初の4週間は週に二回、その後は週に一回)を行いました。

3ヶ月間の治療期間の前後に脳スキャンを撮影し、それぞれのグループで、鬱病が治るほどに治療が効果を発揮した患者(ハミルトン鬱病評価で7点以下になる)と、治療効果が全く見られなかった患者の脳の活性を比較しました。 (少しだけ治療効果の見られた患者は比較対象から外されました)

結果

その結果、薬物治療と会話治療いずれのグループにおいても、治療効果の有無が「島皮質」という脳の領域の活性(ブドウ糖の代謝)に現れていました。

会話療法の効果が無かった患者の100%、および薬物療法が効果的だった患者の約90%では、治療開始前の時点で右島皮質前部の活性が高かったのです。 逆に、治療開始前の時点で右島皮質前部の活性が少ない患者では、会話療法が有効である率が高く、薬物療法が有効である率が低いという結果でした。

この研究ではさらに、ハミルトン鬱病評価で不安感が強いタイプの鬱病患者には会話療法が効きにくいこともわかりました。

今回の研究は、抗欝剤が効かなければ別の抗欝剤を投与するという治療方針に一石を投じる(つまり、抗欝剤が効かないなら、別の抗欝剤を試すよりも会話療法を試すべき)ことになる可能性があります。