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輸血でセリアック病に感染する心配は無さそう

(2017年7月) "American Journal of Epidemiology" に掲載されたカロリンスカ研究所(スウェーデン)などの研究によると、輸血によってセリアック病に「感染」する心配はなさそうです。

セリアック病とは

セリアック病とはグルテン(*)が原因となる自己免疫疾患のことです。 この病気では、グルテンを摂取しても消化酵素による分解が十分に行われないために、ペプチド(アミノ酸を2つ以上含む分子)が残留します。
(*) 小麦・ライ麦・大麦などの穀物に含まれる植物性タンパク質。

そして残留ペプチドによって生じる炎症のために小腸の内壁が損傷して、腹痛・下痢・便秘が起きたり、小腸から栄養を吸収出来ないために貧血・栄養失調・体重減少・疲労感が生じたりします。 セリアック病を放置していると、神経障害・皮膚炎・慢性疲労・骨粗鬆症・脾臓障害・不妊・ガンなどが生じるリスクが増加します。

セリアック病の罹患率は世界全体では人口の1~3%ほどだといわれています。 米国では133人に1人がセリアック病で、セリアック病と診断された人の60~70%が女性です。 日本の患者数は、人口の0.7%にあたる87.5万人だと思われます。

研究の背景

研究チームが今回の研究を行った背景には、次のような仮説があります:
「セリアック病の患者の大部分は、セリアック病に特有の抗体を保有している。 そのような抗体(あるいはセリアック病の発症に関わるなんらかの因子)が輸血を介して他の人の体内へと移動しうるのであれば、セリアック病の患者に提供された血液を輸血された人はセリアック病になるリスクが増加するかもしれない」

研究の方法

スウェーデンで 1968~2012年のうちに輸血された男女100万人超のデータを用いて、セリアック病患者の血液を輸血された人でセリアック病のリスクが増加しているかどうかを調べました。

結果

100万人超のうち 9,455人(0.9%)がセリアック病と診断された人の血液を輸血されました。 この 9,455人のうち14人がセリアック病を発症しました。

セリアック病患者の血液を輸血された人と、セリアック病ではない人の血液を輸血された人とで、セリアック病の発症リスクに全く差が見られませんでした。

セリアック病患者の血液から用意された血小板製剤や血漿製剤で成分輸血を受けた人のうちに、セリアック病を発症した人はいませんでした。

また、特定の血液提供者の血液を輸血した人にセリアック病の発症者が集中しているということもありませんでした。