脳卒中など脳の血管に問題がある高齢女性はカルシウムのサプリメントで認知症のリスクが増加するおそれ

(2016年8月) 高齢の女性は骨粗鬆症予防のためにカルシウムのサプリメントを飲むことがありますが、"Neurology" 誌に掲載されたヨーテボリ大学(スェーデン)の研究によると、脳卒中など脳の血管が関わる病気がある高齢の女性は、カルシウムのサプリメントを飲んでいると認知症になりやすくなる恐れがあります。

研究の方法
認知症ではない70才以上の高齢女性700人を5年間にわたり追跡調査したデータを分析しました。 データには、追跡期間の前後に行った認知機能(記憶力や思考力)などの検査の結果やカルシウム・サプリメント服用状況などの情報が含まれていました。
  • 追跡開始の時点でカルシウム・サプリメントを服用していたのは98人。
  • 脳卒中の病歴があったのは54人。
  • 追跡期間中に新たに54人が脳卒中になった。
  • 追跡期間中に59人が認知症になった。
  • CTスキャンで脳を検査した447人のうち71%で、脳の白質に脳血管疾患の兆候である異変が見られた。
結果
手始めに行った分析では、カルシウム・サプリメントを服用していると認知症のリスクが2倍に増加するという結果でした。
カルシウム・サプリメントを服用していたのは98人のうち14人(14%)が認知症になった。 これに対してカルシウム・サプリメントを服用していなかった602人では、認知症になったの45人(8%)だった。
しかし、さらに分析を進めたところ、カルシウム・サプリメントを服用していて認知症のリスクが増えていたのは脳血管疾患があった女性だけでした:
  • 脳卒中の病歴がある女性のデータだけを用いて分析すると、カルシウム・サプリメントを飲んでいた場合には飲んでいなかった場合に比べて、認知症がリスクが7倍だった。
  • CTスキャンで脳に脳血管疾患の兆候が認められた女性のデータだけを用いて分析すると、カルシウム・サプリメントを飲んでいた場合には飲んでいなかった場合に比べて、認知症がリスクが3倍だった。
脳卒中の病歴があった108人(54人+54人)において、カルシウム・サプリメントを飲んでいた15人のうち6人が認知症になったのに対して、カルシウム・サプリメントを飲んでいなかった93人では認知症になったのは12人だった。
留意点

今回の研究はデータの量が少ないので、今後の研究で今回の結果を確認する必要があります。

また研究者によると、カルシウムはサプリメントで摂る場合と食品から摂る場合とで体内における作用が異なります。 したがって脳血管疾患を抱えている女性であっても、カルシウムを豊富に含む食品を食べる場合には認知症の心配は無いと思われます。