服用後わずか数時間で効果を発揮する抗鬱剤

(2016年1月) "Molecular Psychiatry" 誌に掲載されたジョンズ・ホプキンス大学の研究によると、飲んでから数時間で効果を発揮する抗鬱剤が開発されるかもしれません。

既存の抗鬱剤は、悲しみ・空しさ・疲労感・不眠・食欲の変化・体重の変化などの鬱病の症状に対して実質的な効果を発揮するまでに数週間以上も飲み続ける必要があります。

CGP3466B

この新しい抗鬱剤は CGP3466B と呼ばれヒトにとって安全であることが知られている物質で、作用の仕組みが従来の抗鬱剤と異なるために、これまで抗鬱剤が効かなかった患者にも効く可能性があります。

ただし今回の研究がマウス実験であったために、ヒトでもマウスと同様に速やかに効果が発揮されるかどうかを今後の研究で確認する必要があります。

作用の仕組み

CGP3466B はケタミンという麻酔薬に似た仕組みで作用します。 ケタミンは低用量で使うと即効性のある抗鬱剤として作用しますが、習慣性があるうえに統合失調症に似た症状を引き起こすことがあるため長期間は使用できません。

CGP3466B はケタミンと同じ分子的なメカニズムに作用して神経細胞間の接続を確立するタンパク質の生産を促進しますが、CGP3466B はケタミンと違ってプロセスの後の方に作用するため副作用が少なくて済みます。

実用化までに要する期間
CGP3466B は第1相試験(*)により毒性も習慣性も無いことが既に示されていますが、第2相試験で抗鬱剤としての有効性と安全性を調べるまでには数年以上が必要だと思われます。
(*) この試験では、CGP3466Bのルー・ゲーリック病(筋萎縮性側索硬化症、"ALS")やパーキンソン病への治療効果を調べました。 ルーゲーリック病やパーキンソン病には効果が無いという結果になっています。
マウス実験
CGP3466Bの投与がマウスのストレス耐性や大胆さ(抑鬱の代替的な指標)に及ぼす効果を調べた実験で、CGP3466B は投与後わずか30分で効果を示しました。 これに対してプロザック(フルオキセチン)などの抗鬱剤は、CGP3466Bと同様の効果を発揮するまでに3週間を要しました。