(2018年2月) "Circulation" 誌に掲載されたジョンズ・ホプキンス大学などの研究によると、中年が後半に差し掛かってからでも運動習慣を始めることで心不全になるリスクが下がります。
研究の方法
心臓病や脳卒中の病歴がない平均年齢60才の男女1万1千人超を対象に、6年間の期間を空けて2回にわたりアンケートで身体活動習慣を尋ねたのち、19年間前後にわたり心不全の発生状況を追跡調査しました。
そして、身体活動量に応じて次の3つのグループに分けて、心不全になるリスクを比較しました:- 身体活動量が十分なグループ(*)
- 身体活動量が普通のグループ(†)
- 身体活動量が不足しているグループ
(*) 米国心臓協会が推奨する身体活動量を満たしているグループ。 米国心臓協会は、心臓・血管全般の健康のために、中強度の激しさの有酸素運動を毎週30分×5日以上または高強度の有酸素運動を毎週25分×3日以上行うのに加えて、高強度の筋力トレーニングを週に2日行うことを推奨している。 また、血圧やコレステロール値を健康的に保つためには40分間の中~高強度の有酸素運動を週に3~4日行うのが良いとしている。
(†) 十分なグループと不足しているグループの中間。結果
追跡期間中に 1,750件の心不全が発生しました。
身体活動量が一貫して十分な場合
2回のアンケート調査の両方において身体活動量が十分だったグループは、2回のアンケート調査の両方において身体活動量が不足していたグループに比べて、心不全になるリスクが31%低下していました。
身体活動量が十分に増えた場合
初回の調査で身体活動量が不十分で2回目の調査で身体活動量が十分な水準にまで増えたグループでも、(2回のアンケート調査の両方において身体活動量が不足していたグループに比べて)心不全になるリスクが33%低下していました。
初回の調査で身体活動量が不十分だったグループでは、2回目の調査における身体活動量が512MET分/週(*)増えるごとに心不全のリスクが11%低下していました。
(*) 激しめのウォーキングを30分間ほど週に4回行うのに相当する。