抗がん剤が老化の原因に

(2014年3月) これまでにも抗がん剤が老化の原因になるのではないかと考えられていましたが、"Journal of the National Cancer Institute" に掲載されたノースカロライナ大学の研究により、やはりそうであることが確認されました。

研究の方法

この研究では、50才超の女性ガン患者33人を対象に、細胞老化の原因となる p16 というタンパク質の血中濃度を測定しました。 血液サンプルの採取は、抗がん剤投与の前と直後、および抗がん剤による治療が終了してから1年後の3回にわたって行いました。

結果

分析の結果、抗がん剤治療によって患者の分子が老化していること、そして分子の老化を通常の老化に換算すると平均で15年分に相当することが示されました。

乳ガン患者176人(抗がん剤治療を受けた時期は平均で3年半前)を対象に別途に行われた検査でも同様の結果となりました。

今回の研究の有用性
今回の結果から、抗がん剤治療が患者の長期的な健康や生存率に与える影響を評価する手段として、そして抗がん剤の長期的な毒性についての予測的バイオマーカーとして、p16 が有望であると考えられます:
「抗がん剤による治療を開始する前の時点で分子年齢がすでに高い場合には、抗がん剤治療に耐えられない可能性が高くなると思われます。 分子年齢が高い患者では、複数回にわたる抗がん剤治療を行うたびに新しい血液細胞を作るのが非常な負担となるため、貧血や抗がん剤治療中の感染症などのリスクが増加すると考えられるのです」
今回の研究を行った研究室は p16 がヒトの老化において果たす役割について10年間も研究を続けており、2004年に老化に伴って p16 の量が乗数的に(加速度的に)増加することを明らかにしたほか、2009年にはヒト用の p16 血液検査を開発しています。