腸内細菌によって抗ガン剤の「副作用」が「効果」に

(2013年11月) "Science" 誌に掲載されたフランスの研究(マウス実験)によると、抗がん剤に最もよく使われる分子の1つにおいては、その効果の一部が腸内細菌のお陰です。 この分子によって一部の腸内細菌が腸から血流中に、そして血流からリンパ節へと追い出され、リンパ節内に入り込んだ腸内細菌が免疫系を刺激し、免疫力を増強させるきっかけとなっていたのです。

研究の概要

最もよく使われている抗がん剤の1つにシクロホスファミド(環状リン酸アミド)というものがありますが、シクロホスファミドには粘膜の炎症などのほかに、腸内細菌叢のバランスを乱すという副作用もあります。

グラム陽性の腸内細菌の中には腸管バリアを通過できるものがあり、それらの腸内細菌は(シクロホスファミドの刺激によって)腸管バリアを通過して血流中に入り、そこからリンパ節へと入り込みます。 免疫系は腸内細菌であっても血流中に入り込んだ時点でこれを有害とみなし免疫応答を起こします。

具体的には、腸内細菌に対する免疫応答(immunisation)によって、作用因子であるリンパ球が(抗がん剤によるのとは別途に)補充されます。 こうして補充されたリンパ球が抗腫瘍リンパ球が腫瘍の成長を抑えるのを助けてくれます。

また、上記の発見を確認するために腸内のグラム陽性菌すべてがマウスの腸内から移動できないようにしたところ、シクロホスファミドの効果が減少しました。

コメント
研究者は次のように述べています:
「驚いたことに、リンパ節に入り込んだ腸内細菌に向けられた免疫応答が、免疫系を刺激することによって腫瘍との闘いにも役立っていたのです。 腸内細菌叢が乱れるというのはシクロホスファミドの副作用なのですが、結果的に、この副作用が非常に有益な作用となっているわけです」
研究グループによると、抗がん剤を使用する際に抗生物質を用いることで(腸内から出て行って免疫系を刺激してくれる)グラム陽性菌を殺して抗がん剤(あるいはグラム陽性菌)の有益性が損なわれている可能性があります。