胸の痛みも抑うつ症状の1つ

(2015年9月) "ESC Congress 2015" で発表されたエモリー大学(米国)の研究によると、胸の痛みも抑鬱の症状の1つです。 抑鬱により心臓病のリスクが増加することが知られていますが、今回の研究で冠動脈疾患(心臓病)の有無とは無関係に抑鬱により胸痛の頻度が増加するという結果だったのです。

研究の方法
心臓カテーテル(*)を受ける前の患者 5,825人(平均年齢63才・男性65%・黒人22%)を対象にアンケート調査を実施して鬱症状の程度と過去一ヶ月間における胸の痛みの頻度を調べ、さらに血管造影図により冠動脈疾患の有無と程度を検査しました。 鬱症状と胸の痛みに関するアンケート調査は、1年後および5年後にも再度実施しました。
(*) 心臓カテーテル(cardiac catheterization)は検査にも治療にも用いられます。
結果
  • 抑鬱の程度がひどいと胸痛の頻度が高いという結果でした。 抑鬱の程度が軽い場合にも抑鬱が全く無い人に比べれば胸痛が頻繁に生じていた。
  • 冠動脈疾患の程度・年齢・性別・人種などの要因のほか、心血管疾患の既知のリスク要因である喫煙習慣・BMI・血圧・コレステロール値などを考慮して分析しても、抑鬱の程度と胸痛との関係の統計学的な有意性は消滅しなかった。
  • 閉塞性冠動脈疾患の有無に関わらず、男性でも女性でも抑鬱がある場合には胸痛が起こる率が抑鬱が無い場合の3倍だった。
  • (1年後および5年後のアンケート調査において)鬱症状が緩和されていた人では、胸痛の頻度も減っていた。
  • 抑鬱がありなおかつ血管再生術を受けた患者でも1年後の時点で胸痛の頻度が減っていなかった。
コメント
研究者は次のように述べています:

「冠動脈疾患が有る人でも無い人でも、抑鬱があると胸痛の頻度が高いという強い関係が見られました。 また、心臓病と抑鬱の両方を抱えていた人の心臓病を治療しても胸痛の頻度は減りませんでした」

「これらの結果から、(胸などの)痛みと抑鬱には胸痛の神経化学的経路が存在する可能性があると考えられます」