5才児の脳のエネルギー消費量は大人の二倍

(2014年8月) "Proceedings of the National Academy of Sciences" 誌に掲載予定のノースウェスタン大学の研究で、5才児の脳が、大人の2倍もの量のブドウ糖(脳がエネルギーとして使えるのはブドウ糖だけ)を消費することが明らかになりました。

今回の発見は、『他の類人猿に比べてヒトの子供時代が長いのは巨大なリソース(資源)を脳の発達に向ける必要があるために、脳以外の部分の発達に向けられるリソースがほとんど残らないためだ』 という人類学上の仮説を裏付けるものです。

研究者は次のように述べています:

「ヒトは(子供の間に)非常に多くのことを学習する必要があり、その学習には複雑な脳と大量のエネルギーが必要とされます」


この研究では、PET(陽電子放出形コンピュータ断層撮影法)で脳によるブドウ糖の摂取を、そして MRI(磁気共鳴映像法)で脳のサイズを、それぞれ計測することによって、(脳以外の)体の成長のペースが最も遅くなる年頃に、脳が要求するエネルギーの量が最大となっていることを明らかにしました。 この年頃には、体全体が消費するエネルギーのうちの66%を脳が消費していました。

「子供が一定の年頃(4才くらい)に達すると、体の大きさから年齢を判別できなくなります。 その一方で、(脳の発達の度合いが関与する)話し方や振る舞いには年齢の違いが生じます。

今回の研究から、この年頃では脳が急速に発達しており、その代わりに体の成長がほとんど止まっていることがわかります。 脳が体の成長に必要なエネルギーを吸い上げているのです」


これまでは、脳が必要とするエネルギーが最大となるのは誕生時だと考えられていました。 体の他の部分に対する脳のサイズの比率が誕生時に最大となるためです。 今回の研究によると、脳が必要とするエネルギーが最大となるのが5才のときです。 4才の時点で、脳は安静時代謝率の66%(体全体のエネルギー消費で言えば40%超)に相当するペースでブドウ糖を消費します。

「この年頃に脳のエネルギー消費量がピークを迎えるのは、このときにシナプス(脳細胞同士の接続)の数が最大に達するのと無関係ではないでしょう。 この年頃には人間として生きてゆくのに必要な数多くのことを学習します」

シナプスは、幼少時に一気に形成されたものが思春期後半までに半減します。
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別の研究者は次のように述べています:

「脳のエネルギー消費量がピークとなる時期には、体全体が安静時に消費するカロリーのうちの2/3を脳が消費しています。 これは、他の類人猿よりに比べて随分と大きな数字です。 この年頃には、脳が消費するエネルギーが大きいために、体のサイズの成長が遅くなり、運動量も減少します」