思春期の頃の引越しが子供の将来に深刻な悪影響を及ぼす?

(2016年6月) "American Journal of Preventive Medicine" に掲載されたマンチェスター大学の研究で、子供の頃に引越しを経験した人は将来に色々な問題(*)が生じることが多いという結果になりました。
(*) 自殺未遂・精神疾患・他人への暴力・早死に・違法な薬物の使用。
研究の方法

デンマークに住む子供140万人の14才までの引越し状況を調べて、15才から40代前半になるまでの状態と照らし合わせました。

結果
主な結果は次の通りです:
  • 15才になるまでに1度でも他の市に引っ越したことがあるという人は37%だった。
  • 自殺未遂・精神疾患・他人への暴力・早死に・違法な薬物の使用のいずれにおいても、引越しの回数が多いほどリスクが高かった。
  • 将来に問題が起こるリスクが最も高かったのは、12~14才の頃に頻繁に引越しを繰り返したというグループだった。 例えば自殺未遂のリスクは引越したときの年齢が(15才までのうちで)高いほど安定的に高くなってゆき、12~14才の頃に1年のうちに引越しを複数回経験したという子供で特にリスクが高かった。
  • 研究チームの予想に反して、両親の社会経済的状態(収入・職業・学歴など)に関わりなく、思春期の初期~中期に引越しを経験した子供は後に問題が生じるリスクが増加していた。
コメント
研究者は次のように述べています:
「心理社会学的に不利な状況にある家族が頻繁に引越しをしているだけという可能性(*)も考えられますが、引越しと将来的な問題のリスクとの関係が社会経済的状態を問わず見られたことから、引越しそれ自体が子供の将来に悪影響を及ぼすのかもしれません」

(*) 引越しが子供の将来に悪影響を及ぼすのではなく、子供の将来にとって不利となるような家庭環境で暮らしている子供が引越しをすることが多いだけではないかという可能性。

つまり、家庭環境が①子供に将来問題が生じるリスクの増加と②引越し率の増加の両方の原因となっていいるのであって、引越しそれ自体が子供の将来に直接的に悪影響を及ぼしてはいないという可能性。