子供のうちからコレステロールに注意が必要?

(2014年3月) "American College of Cardiology" の会合で発表された研究によると、米国テキサス州では9~11才の子供の約1/3が高コレステロールまたは高コレステロールになりかけの状態です。 コレステロールが高いと心臓疾患のリスクが増加します。

研究の方法
子供たち 12,712人の健康診断記録に含まれるコレステロール値のデータを分析しました。
結果
30%に当たる 4,709人が高コレステロールまたは高コレステロールになりかけの状態でした。 主な結果は次の通り:
  • データ全体の平均では、総コレステロール、LDL (悪玉)コレステロール、非HDLコレステロール(*) 、およびHDL(善玉)コレステロールの値はいずれも正常範囲内だった(†)

    (*) 総コレステロールからHDLを差し引いた数字。 悪玉コレステロールのマーカーとしてLDLよりも包括的。

    (†) 総コレステロール:162mg/dL、LDL:92mg/dL、非HDL:113 mg/dL、HDL:52 mg/dL。
    ただし、トリグリセライド(≒中性脂肪)は平均値が103mg/dL であり、ボーダーラインあるいは正常範囲外だった。
  • 男子は女子よりも総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセライドの値が高い傾向にあった。
  • 女子は男子よりもHDLコレステロール値が低い傾向にあった。
  • 肥満の子供は、そうでない子供に比べて、総コレステロール、LDLコレステロール、およびトリグリセライドの値が高く、HDLコレステロール値が低い傾向にあった。
  • 最近行われた成人を対象とする研究と同様に、9~11才の子供でもヒスパニック系ではトリグリセライドが高くHDLが低い傾向にあった。
今回の研究の弱点

今回の研究期間の途中(2011年)で子供を対象とするコレステロール検診が推奨されるようになったため、(高コレステロールの)リスク要因や心臓病の家族歴のある子供が特にコレステロール検診を受けるように指示された可能性があります。 (つまり、高コレステロールのリスクが高いとして肥満の子供が選択的に検診に送り込まれ、その結果データに含まれる高コレステロールの子供の比率が増加している可能性があるということでしょう)

さらに、今回のデータに含まれるのが、テキサス州のヒューストン近辺に住む子供たちに限られていました。

解説

心血管疾患(心臓発作や脳卒中など)は子供ではまれですが、子供の頃から高コレステロールなどのリスク要因を持っていると、大人になってから心血管疾患になるリスクが増加します。 例えば、アテローム性動脈硬化にしても、子供の頃に異変が始まることが複数の研究で示されています。

研究者は次のように述べています:
「アテローム性動脈硬化の発症リスクや重症度は、コレステロールの高さおよび高コレステロールである期間の長さに比例します。 したがって、高コレステロールの子供を見つけ出し対処することにより、(高コレステロールによる)血管の異変に歯止めをかけて、将来病気になるリスクを減らせると考えられます」

米国では現在、9~11才の時点および17~21才の時点に一度ずつコレステロール値の測定を行うことが推奨されていますが、子供にコレステロール低下薬を無闇に投与することになるのではないかという懸念から、子供のコレステロール値測定はあまり行われていません。

研究者の話では、子供でコレステロール低下薬が必要となるのは脂質異常症(コレステロール値が非常に高くなる)のある1~2%の子供だけであり、基本的には健康的な食事と運動習慣で対処することになります。

今回の結果は食事などの生活習慣が異なる日本の子供にそのまま当てはめることは出来ないでしょうが、「子供だから成人病の心配は不要」と高をくくってもいられないようです。