キトサンのダイエット効果

(2016年1月) "Nutrition Journal" に掲載された KitoZyme社(*)などによる研究で、食物繊維の一種であるキトサンにダイエット効果のあることが確認されました。 キトサンには体に吸収される脂肪の量を減らす作用があります。
VR Trivedi, MC Satia, A. Deschamps, V. Maquet, RB Shah, PH Zinzuwadia and JV Trivedi. Single-blind, placebo controlled randomised clinical study of chitosan for body weight reduction. Nutrition Journal201615:3 DOI: 10.1186/s12937-016-0122-8 (Licensed under CC BY 4.0)
(*) キトサンの製造販売を行っているベルギーの会社。
研究の方法
この研究では、コウジカビ(*)由来のキトサンを用いた第IV相試験(†)を行いました。 試験では18~63才の肥満者86人(女性52人)を2つのグループに分けて、一方のグループにはキトサン2.5g/日(‡)を、もう一方のグループにはプラシーボ(セルロース粉末)を90日間にわたり服用してもらいました。

(*) Aspergillus niger。 クエン酸の製造など食品工業に利用されるが、肺・耳・鼻などの感染症(アスペルギルス症)の原因になることがある。 今回用いられたキトサンはクエン酸製造の副産物。

(†) 医薬品の市販後に行われる臨床試験。有効性と安全性の確認を目的とする。

(‡) 500mgのカプセル5粒を朝昼晩の3回に分けて服用した。 服用のタイミングは食前15分前。 キトサンは食前の15分~1時間前に服用しておくと、胃酸に溶けて効果を発揮しやすくなります。

食生活は普段のものを続けてもらいました。 被験者の摂取カロリーは食事日記から把握しました。

服用開始から45日目および90日目に、体重・体脂肪率・体型・HbA1C値(*)コレステロール値などを測定しました。 また、服用開始前・服用期間中・服用期間後の3回にわたって生活の質(QOL)に関するアンケートを実施しました。
(*) 血糖値の指標
結果

プラシーボ・グループ(30人)の体重減少幅は、服用開始から45日めの時点で0.31kg、90日目の時点で0.33kgでした。 これに対してキトサン・グループ(56人)の体重減少幅は、服用開始から45日めの時点で1.78kg、90日目の時点で3.10kgでした。

また、90日間のうちに体重が5~10%減った人の割合が、プラシーボ・グループでは3.3%だったのに対してキトサン・グループでは32.4%でした。

キトサン・グループでは体重の減少に伴って、体脂肪率・腹部脂肪の量・QOL・HbA1C値(*)も改善されていました。 コレステロール値はいずれのグループでも変化がありませんでした。
(*) HbA1C値は、当初の数値が高かった17人でのみ改善されていた。(服用開始前6.55% ⇒ 90日後6.04%)
副作用

試験期間中に生じた健康問題は、キトサン・グループでは風邪・高トリグリセライド血症・体の痛み・便秘・高血圧・高血圧、プラシーボ・グループでは骨折・頭痛・高トリグリセライド血症でした。 いずれもキトサンやプラシーボの服用とは無関係だと思われます。

補足
キトサンについて

キトサンは、キチンという生体高分子を脱アセチル化(N-アセチル-D-グルコサミンの加水分解)して作られるカチオン性多糖類です。 キトサンの原料は、エビやカニなどの甲殻類の殻あるいはキノコ類の細胞壁です。 キトサンはセルロース(不溶性食物繊維。 ヒトは消化できない)に似た性質を有しています。

カチオンとしての性質ゆえにキトサンは、マイナスの電荷を帯びた脂質と結合します。 この作用によってキトサンは、消化管で脂質が吸収される量を減らします。 キトサンが食事中に含まれる脂肪分や胆汁酸(*)と結合することを示す研究が複数存在します。
(*) 胆汁酸は、肝臓で作られ脂肪の吸収を促進する。
過去の類似研究

肥満に対するキトサンの効果を調べた臨床試験が複数行われており、大部分の試験ではキトサンに体重減少やコレステロール改善の効果があるという結果になっていますが、キトサンにそのような効果は無いという結果になった試験も2つほどあります。

キトサンに効果が無いという結果は、キトサンの服用量が足りなかったりカロリー摂取量の管理がなされていなかったためだと思われます。