あの乳酸菌で免疫チェックポイント阻害薬が効くようになる?(1/2ページ)

(2015年11月) "Science" 誌に掲載されたシカゴ大学の研究によると、免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれるタイプの抗がん剤が一部の患者にしか効かない理由には腸内細菌が関与しています。

イピリムマブや、ニボルマブ、ペンブロリズマブなどの免疫チェックポイント阻害薬は肺ガン・頭頸部ガン・メラノーマなどのガンに対して劇的な効果を発揮しますが、そのような効果が発揮されるのは患者全体の1/3未満でしかありません。

研究者は次のように述べています:
「腸内細菌と免疫系が密接に関係していることが近年明らかになっていますが、今回の研究では特定の腸内細菌が免疫系のメラノーマ(皮膚ガンの一種)への反応を増強することが明確に示されました。 メラノーマ以外の多数のガンでも同様であることが期待されます」
マウスの種類による免疫力の違い

研究チームはまず、ガン研究用に購入したマウスの間でメラノーマへの免疫応答に差があることに気付きました。 Taconic Biosciences から購入したマウス(TACマウス)に比べて Jackson Laboratory から購入したマウス(JAXマウス)の方が、メラノーマ腫瘍を皮下に移植したときの免疫応答がはるかに強い傾向にあったのです。

そこで研究チームは、TACマウスとJAXマウスを3週間にわたり同じケージで飼育するという実験を行いました。 すると、両者の腫瘍の成長に関する差異が完全に消滅しました。 JAXマウスの腸内細菌がTACマウスに共有されることでTACマウスの腫瘍に対する免疫力が向上したのではないかと研究チームは考えました。

この考えを確認するため新たに、JAXマウスの糞をTACマウスの胃に投入するという実験を行ったところ、JAXマウスの糞を投入されたTACマウスの免疫応答が強くなり腫瘍の成長が遅れました。 逆にTACマウスの糞をJAXマウスに投入しても、何の変化も生じませんでした。

腸内細菌に免疫チェックポイント阻害薬と同等の効果

次に、(JAXマウスの)腸内細菌の移植と免疫チェックポイント阻害薬の一種である抗PD-L1抗体の投与とでメラノーマ腫瘍に対する効果を比較したところ、腸内細菌の移植によって、抗PD-L1抗体を投与したときと同程度に免疫系の腫瘍攻撃能力が向上し腫瘍の成長が遅くなりました。

さらに、抗PD-L1抗体の注射と同時に腸内細菌を経口投与すると、増殖したメラノーマ腫瘍がほぼ完全に消滅しました。