スタチンの効果を70%も増幅する月に一度の注射薬「エボロクマブ」(1/2ページ)

(2014年5月) "Journal of the American Medical Association" に掲載されたアイオワ大学の研究で、スタチンと併用するタイプのコレステロール低下注射薬の効果が報告されています。 この薬によって LDL(悪玉)コレステロールが、スタチンだけの場合に比べて63~75%も多く減少します。

この注射薬は「エボロクマブ(Evolocumab)」という名称です。 エボロクマブはいわゆる「ヒト・モノクローナル抗体」で、人体に自然に備わっている、血流中からコレステロールを除去する機能を改善します。 したがって、遺伝的にコレステロールが増えやすい人(米国では500人に1人)や、スタチンを大量には服用できない人(心臓疾患や糖尿病の患者の10%ほど)に最適です。

エボクロマブが作用する仕組み

LDL コレステロールを血流中から取り除く受容体が主として肝臓で生産されますが、肝臓では PCSK9 というタンパク質も生産されていて、この PCSK9 が LDL 受容体と結合して受容体を分解してしまいます。

エボロクマブに含有される抗体には、PCSK9 をキャッチして LDL 受容体の分解を阻止する作用があります。 この作用によって、LDL 受容体が血流中に滞在する時間が長くなるために、LDL コレステロールの除去量が増加するというわけです。

研究の内容

今回の研究で実施されたのは第3相臨床試験で、Amgen 社というエボロクマブのメーカーが資金を提供しました。 試験は17ヶ国、198の場所で12週間にわたって行われました。

スタチンを中~高用量で服用している2千人超を3つのグループに分けて、①スタチン+エボロクマブ、②スタチン+エゼチミブ(商品名:ゼチーア。 コレステロールの吸収を阻害する)、または③スタチン+プラシーボを服用してもらいました。

その結果、スタチン+プラシーボの場合に比べて、スタチンに加えてエボロクマブ2週間に1度注射した場合では66~75%、一ヶ月に1度注射した場合でも63~75%、それぞれコレステロールが多く減少していました。 これに対してエゼチミブでは、プラシーボのグループに比べて24%のコレステロール減少に留まりました。

さらに副作用に関しても、①~③のグループで大差ありませんでした。 研究者によると、エボロクマブは非常に限定的な抗体(specific antibody)であるため、薬の相互作用や副作用もなく忍容性が良好です。