コレステロールと炎症; 善玉コレステロールの品質

(2013年5月) ヘルシンキ大学(フィンランド)の研究によると、炎症と免疫応答に血中HDLコレステロールの量も関わっています。

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が多いと心臓疾患のリスクが増え、HDLコレステロール(善玉コレステロール)により心臓疾患のリスクが減ると考えられています。

研究グループは、HDLコレステロール量が低下する原因になる遺伝子を複数発見しました。 さらに、遺伝子の中に炎症と免疫応答を調節する遺伝子の多くが血中のコレステロール量の低下に関与していることも明らかになりました。 つまり、低HDLコレステロールは炎症と深い関係があるというわけです。

研究者は次のように述べています:
「今回の結果により、遺伝子的に、特に脂肪組織と血管に炎症を起こしやすい人のいることがわかりました。 炎症によって、コレステロールが血管壁から血流中に移動するのが妨げられ、血中のHDLコレステロールが減少する原因となります」
同じHDL粒子でも品質に違い

この研究ではさらに、同じ HDL 粒子であっても粒子によって品質にバラつきがあることも示されました。 HDLコレステロールの量が少ない人では、HDL粒子の質も悪かったのです。 「質が悪い」というのは、HDLに含まれる、抗酸化能力を有し、動脈を保護する脂質分子の量が少ないということです。

HDLコレステロールの血中量が多い人では、心臓疾患リスクという観点から見て、HDL粒子の脂質構成も良好でした。

「HDLコレステロール」と「HDL粒子」の区別

研究者は今回の研究や過去の複数の研究に基づき、心臓疾患のリスクに関して述べるときには「HDLコレステロール」と「HDL粒子」という言葉を区別する必要があると考えています。 「善玉コレステロール」という言い方が誤解を招くからです。

「善玉」のHDL粒子でも「悪玉」のLDL粒子でもコレステロール分子は全く同じであり、HDL粒子が心臓疾患に対して有効であるのは、HDL粒子の表面に存在する脂質やタンパク質の分子が理由であると考えられます。