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コレステロールの改善にL.ロイテリ菌が有効?

(2015年5月) "Nutrients" 誌に掲載された國立體育大學(台湾)などの研究で、コレステロールの改善に乳酸菌の一種であるラクトバチルス・ロイテリ菌(Lactobacillus reuteri 263、以下「Lr263」)が有効で副作用もほとんど無いという結果になりました。
Wen-Ching Huang, Yi-Ming Chen, Nai-Wen Kan, Chun-Sheng Ho, Li Wei, Ching-Hung Chan, Hui-Yu Huang, and Chi-Chang Huang. Hypolipidemic Effects and Safety of Lactobacillus Reuteri 263 in a Hamster Model of Hyperlipidemia. Nutrients 2015, 7(5), 3569-3586; doi:10.3390/nu7053569 (Licensed under CC BY 4.0)
研究の方法
この研究では雄の無菌ハムスター(コレステロールに関してヒトと似ている)40匹を用いた実験を行い、Lr263の脂質異常への効果を調べました。 40匹は次の5つのグループに分けられました:
  1. 普通のエサを与えられるグループ。
  2. 高脂肪のエサ(0.2%およびラードを10%含む)で高脂血症にされた後、賦形剤(増量・希釈用の添加剤。 プラシーボとして用いたのでしょう)を投与されたグループ。
  3. 高脂肪のエサで高脂血症にされた後、Lr263を111mg/kg(2.1×109細胞/kg/日)経口投与されたグループ。
  4. 高脂肪のエサで高脂血症にされた後、3のグループの2倍の量のLr263を経口投与されたグループ。
  5. 高脂肪のエサで高脂血症にされた後、3のグループの5倍の量のLr263を経口投与されたグループ。
投与期間は6週間でした。 111mg/kgという投与量は、体重60kgの人が900mg/日を服用するのに相当する量です。
結果

ハムスターの血液、肝臓、および糞を検査した結果、Lr263の投与によってHDL(善玉)コレステロールが増加し、総コレステロール、トリグリセライド、およびLDL(悪玉)コレステロールが減少していました。 このLr263の効果は投与量多いほど大きくなっていました。

1のグループに比べて2のグループでは、血中の総コレステロールとトリグリセライドがいずれも3倍ほどに増加していましたが、その2のグループに比べて3~5のグループでは総コレステロールが18.6~23.1%、そしてトリグリセライドが40.6~45.9%少なくなっていました。

6週間という比較的短い期間においてはLr263による副作用はほとんど見られませんでした(もっと期間が長ければ副作用が出る可能性もある)。

考えられるメカニズム

L. ロイテリ菌で血中コレステロールが減少するのは、L. ロイテリ菌により胆汁酸塩ヒドロラーゼという酵素が活性化し、それによって胆汁酸の分泌量が増加するためではないかと思われます。

L. ロイテリ菌について

乳酸菌は菌株の違いによって健康効果が異なる可能性があります。 菌株の違いとは、例えば L. reuteri 263 に対する L. reuteri L3 などのように同じ種類の菌(ここではロイテリ菌)の中のさらに下の区分の違いということです。

Lr263は糖尿病の症状を改善する効果があるとして特許が取得されています。 ロイテリ菌の他の菌株では、L. reuteri L3 は肥満を抑制する効果がマウス実験で確認されていますし、L. reuteri LR6 は高脂血症を改善する効果がネズミの研究で確認されています。 L. reuteri L10 は、これもマウス実験で抗炎症および抗肥満の効果を示しました。