コレステロール値の改善には植物油よりもクルミが良い?

(2016年1月) "Journal of the American Heart Association" に掲載されたカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究で、ウォールナッツ(クルミ)がコレステロール値の改善に有益であるという結果になりました。出典: Cholesterol Levels Improve with Weight Loss and Healthy Fat-Rich Diet

研究の方法
肥満女性245人(最後まで残ったのは213人)にカロリー制限と運動による1年間のダイエット・プログラムに参加してもらいました。 食事内容に関して、女性たちは次の3つのグループに分けられました:
  1. 低脂肪・高炭水化物(20%と65%)の食事(*)をするグループ
  2. 高脂肪・低炭水化物(45%と35%)の食事(†)をするグループ
  3. ウォールナッツの摂取量を増やすことにより高脂肪・低炭水化物(45%と35%)にした食事(‡)をするグループ

(*) 総摂取カロリーの20%を脂肪、65%を炭水化物で摂る。

(†) 総摂取カロリーの45%を脂肪、35%を炭水化物で摂る。 ただし、飽和脂肪酸の摂取量は控え一価不飽和脂肪酸の摂取量を増やすことで脂肪の摂取量を増やすようにしてもらった。

(‡) 総摂取カロリーの45%を脂肪、35%を炭水化物で摂る。 45%という脂肪摂取量にはウォールナッツに由来する脂肪も含む。 ウォールナッツにはα-リノレン酸という植物性のオメガ3脂肪酸(多価不飽和脂肪酸の一種)が豊富に含まれています。
いずれのグループも摂取カロリーは制限されました(*)。 ダイエット・プログラム開始の時点と開始から半年後の時点で血液検査を行いコレステロール値を調べました。
(*) 消費カロリーよりも摂取カロリーが1日あたり500キロカロリー少なくなるようにした。 消費カロリーに応じて1日あたり 1,200キロカロリー、1,500キロカロリー、または 1,800キロカロリーの3種類。
結果
体重

ダイエット・プログラム開始から半年後の時点で、1~3いずれのグループでも同程度に(7.5%ほど)体重が減っていました。

研究者は次のように述べています:
「今回のダイエット・プログラムによる体重減少量は(肥満女性の場合には)十分とは言えませんが、心臓病などの病気のリスクを下げる効果はあると考えられます。 生活の質も大きく向上した可能性があります」
コレステロール
  • トリグリセライド(中性脂肪)は、いずれのグループでも減っていました。
  • HDL(善玉)コレステロールは、ウォールナッツを食べた3のグループで他の2つのグループよりも増加していました。
  • LDL(悪玉)コレステロールは、1および3のグループのうちインスリン感受性が正常な女性に限って減っていました。 ただし、1のグループのインスリン感受性が正常な女性では総コレステロールも減っていました。
    インスリン感受性
    インスリン感受性とはインスリンの効きやすさのことです。 インスリンとは、血中に存在するブドウ糖を細胞がエネルギーとして利用するのに必要なホルモンです。 インスリンが効き難い体質になる(インスリン抵抗性が生じる)と血糖値が上がります。 今回の研究では、245人のうち119人(48.6%)でインスリン感受性が正常でした。

研究者は次のように述べています:
「多くの食事療法において、健康的な脂肪であれば問題がないとうことでオリーブオイルやキャノーラオイル(菜種油)が推奨されていますが、今回の研究ではそのような健康的な脂肪により悪玉コレステロールが減るものの善玉コレステロールまで減ってしまうという結果になりました」
留意点
今回の研究には California Walnut Commission(カリフォルニアのクルミ協会)も資金を提供しています。
コレステロールの改善にオメガ3脂肪酸が良いということであれば、クルミよりも魚を食べる方が効果的かもしれません。 クルミに含まれる短鎖オメガ3脂肪酸よりも魚に含まれる長鎖オメガ3脂肪酸の方が人体における利用効率が優れています。