コリンエステラーゼ阻害薬で体重減少のリスク

(2015年8月) "Journal of the American Geriatrics Society" に掲載されたカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究によると、認知症の治療に用いられる薬の中に不本意な体重減少を引き起こすものがあります。出典: Common Medications for Dementia Could Cause Harmful Weight Loss

意図せずして体重が減少した高齢者では、介護施設への入所・死亡・機能低下・生活の質の低下などのリスクが増加します。

体重減少を引き起こす薬

体重減少を引き起こすのは、コリンエステラーゼ阻害薬という認知症治療に一般的に用いられている薬です。 コリンエステラーゼ阻害薬にはドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンなどがあります。

コリンエステラーゼ阻害薬は効果が極めて限定的である一方で、胃腸に深刻な副作用を引き起こすことがあります。

これまでの研究

認知症患者で体重減少が問題となることは知られており、複数のランダム化比較試験でこの体重減少の原因がコリンエステラーゼ阻害薬にある可能性が示唆されていますが、データが不十分であるうえに、コリンエステラーゼ阻害薬で体重は減少しないという結果になった研究も存在します。

今回の研究
方法

認知症を抱えていてる65才超以上の患者を被験者として、コリンエステラーゼ阻害薬を新規に飲み始めた 1,188人のグループと、その他の薬を新規に飲み始めた 2,189人のグループとで比較しました。

結果

1年後の時点で体重が有意に減少していた人の割合は、コリンエステラーゼ阻害薬のグループで29.3%、他の薬のグループで22.8%でした。 コリンエステラーゼ阻害薬のグループでは21人に1人で約4.5キロ以上の(医師が異変に気付きやすい程度の)体重減少が見られました。

1年後の時点での服用継続率は、コリンエステラーゼ阻害薬のグループで78%、他の薬のグループで66%でした。

研究チームはは次のように述べています:
「医師がコリンエステラーゼ阻害薬を処方するリスクとベネフィットを勘案する際には、体重減少のリスクも考慮するべきである。 また、コリンエステラーゼ阻害薬を処方すると決めた場合には患者の体重を監視して、有意な体重減少が生じた場合にはコリンエステラーゼ阻害薬の使用中止を検討する必要がある」
留意点
今回の被験者は男性の退役軍人が主でした。 したがって、今回の結果を女性にも適用できるか否かは不明です。