お酒を飲んでばかりいると膵臓がビタミンCを吸収できなくなる

(2016年5月) "Cell Physiology" 誌に掲載されたカリフォルニア大学アーバイン校などの研究によると、毎日のようにお酒を飲んでいると膵臓がビタミンCを吸収する能力が衰え、膵炎などの膵臓疾患になりやすい体質になる恐れがあります。出典: Chronic Drinking Interferes with Absorption of Critical Vitamins by Pancreas

予備知識
膵臓について

膵臓では、食べた物を消化するのに必要となる酵素や、食事から得たエネルギーを蓄えておくのに必要となるインスリンなどのホルモンが生産されます。 そのため膵臓に疾患が生じたり膵臓がダメージを受けたりすると、消化に問題が生じたり栄養失調になったり糖尿病になったりすることがあります。

飲酒と膵炎

アルコールに起因する膵炎は、飲酒量にもよりますがお酒を10年ほど毎日飲み続けると生じます。

これまでの研究で、アルコールへの慢性的な暴露(連日の飲酒)により膵臓の防御システムが弱まり膵臓がダメージを受けやすくなることが示されています。 ところが、アルコール依存症患者のうち膵炎を発症するのは10%未満でしかありません。

このことから、膵炎の発症においてアルコールが重要な要因ではあるものの、アルコール以外の遺伝的要因あるいは環境的要因も膵炎の発症に関わっているのだと考えられてきました。

研究の背景

膵臓の細胞は、膵臓が適切に機能するうえで必要となる各種ビタミン類を血流から得ています。 そして過去の研究では、アルコールへの慢性的な暴露によって膵臓細胞によるビオチンとチアミン(いずれもビタミンBの一種)の吸収が妨げられることが示されています。

そこで研究チームは 「アルコールへの慢性的な暴露によって膵臓の防御システムが弱まるのは、膵臓がビタミン類を吸収する能力が衰えるからではないか?」 と考え、アルコールへの慢性的な暴露によってビタミンCの吸収も阻害されるかどうかをまず調べることにしました。

研究の概要
ビタミンC吸収のメカニズムを確認

研究チームはまず、膵臓細胞にビタミンCを輸送しているのが主としてナトリウム依存ビタミンC性輸送体(SVCT-2)と呼ばれるタンパク質であることを確認しました。

アルコールでSVCT-2が減少
次に、以下の2つの実験を行いました:
  • マウスの膵臓細胞を、アルコール依存症患者に見られるアルコール血中濃度と同程度の濃度のアルコールにさらすという細胞実験。
  • 総カロリーの25%をアルコールが占めるという食事をマウスに与えるという動物実験。

その結果、いずれの実験においてもアルコールによって細胞中のSVCT-2の数が減少し、細胞がビタミンCを吸収できないようになりました。

解説
お酒を飲んでばかりいると、膵臓においてビタミンCなどの微量栄養素の量が減るために細胞の正常な活動が阻害されて、(アルコールが膵臓に直接的に及ぼすダメージに加えて)膵臓がさらにダメージを受け、膵炎などの膵臓疾患にかかりやすくなると考えられます。