慢性疲労症候群の患者の腸内細菌叢に異変を発見

(2016年6月) "Microbiome" 誌に掲載されたコーネル大学の研究によると、慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)の診断を糞便と血液の検査で簡単に行える可能性があります。 血中の炎症性物質と腸内細菌の状態が慢性疲労症候群の指標になるというのです。出典: Key to Chronic Fatigue Syndrome Is in Your Gut, Not Head
慢性疲労症候群
慢性疲労症候群とは、日常的な活動によりヘトヘトに疲れてしまい、休んでも回復しないという病気です。 何が慢性疲労症候群の引き金となっているのかは知られていません。 慢性疲労症候群の従来の診断法では、専門家による検査を何度も行う必要があります。
研究の方法

慢性疲労症候群の患者48人と健常者39人から血液サンプルと糞便サンプルを採取し、血液の成分と腸内細菌の構成を調べました。

結果
腸内細菌

慢性疲労症候群の患者は健常者に比べて腸内細菌の多様性が非常に低く、抗炎症作用を有することで知られる複数の種類の細菌があまりいませんでした。 この腸内細菌の状態は、クローン病の患者や潰瘍性大腸炎にも見受けられるものです。

血中の炎症性物質
血液検査では、腸管壁浸漏(リーキー・ガット)に起因すると思われる炎症マーカーの増加が見られました。 腸管壁浸漏はクローン病再発の前触れとして知られています。
(*) 腸粘膜を保護するタイト・ジャンクションの機能が損なわれるために腸内に住む細菌が血流中に入り込むという現象。 血流中に侵入した細菌に免疫機能が反応して炎症マーカーが増加する。
診断正答率

今回の検査方法では、83%の率で慢性疲労症候群の患者を正しく診断できました。

治療に利用できる可能性も

今回の発見は慢性疲労症候群の原因解明にもつながると思われます。 現時点では、慢性疲労症候群の患者に見られる腸内細菌叢の異常が、慢性疲労症候群の原因であるのかそれとも結果であるのかは不明ですが、場合によっては、食事内容の変更やプロバイオティクスあるいはプレバイオティクスなどを慢性疲労症候群の治療に利用できるかもしれません。

今後の予定
研究チームは今後、慢性疲労症候群に関与するウイルスあるいは菌類(カビ)が存在するかどうかを調べる予定です。