慢性的な感染症も認知機能が衰える一因?

(2016年2月) ヒトに感染して認知能力を低下させるウイルスというのが 2014年にニュースになっていますが、"Alzheimer's Disease and Associated Disorders" 誌に掲載されたジョンズ・ホプキンス大学などの研究によると、多くの人が感染しているありふれたウイルスも認知機能低下の一因であるかもしれません。

研究の方法

65才以上の高齢者 1,000人超の血液を検査してウイルスへの感染状況を調査し、5年間にわたって認知機能の変化を調べました。

結果

サイトメガロ・ウイルス、単純ヘルペス・ウイルス2型、またはトキソプラズマと呼ばれヒトに寄生する原生動物に感染している高齢者は、認知機能の様々な面においてわずかに劣っていました。

解説
仮説

病原体に感染した状態が慢性的に続くことによって神経毒的な作用が引き起こされ、それによって認知機能が低下している可能性が考えられます。 老化による正常な範囲内での認知機能の低下にも、病原体への感染が部分的に関与しているかもしれません。

類似研究

これまでにも複数の横断研究(一時点での関係を調べた研究)で、サイトメガロ・ウイルス、単純ヘルペス・ウイルス1型&2型、トキソプラズマと認知機能低下の関係が示されていますが、今回のような縦断研究(一定期間にわたり関係を調べる)はあまり行われていません。

実用性

これらの感染症は非常に一般的であるうえに予防・治療手段も複数存在するので、今回の研究が公衆衛生の役に立つ日が来るかもしれません。

研究チームは現在、感染症により認知機能が低下しやすいタイプの人がいるのかどうかを調査中です。