慢性的な炎症により老化が早まる?

(2014年6月) 炎症は免疫機能の一部であり感染症の撃退などに役立ってくれますが、"Nature Communications" 誌に掲載されたニューカッスル大学(英国)の研究によると、炎症が①細胞の老化と、②老化の原因になると考えられている活性酸素(フリーラジカル)や反応性酸素分子種(ROS)などの放出を引き起こします。

年を取るにつれて、これといった理由も無く軽度な炎症が生じる頻度が増えてゆき、最終的には慢性的に炎症が生じている状態になりますが、これまで、この慢性的な炎症の有害性は明確には確認されていませんでした。

研究の概要
今回の研究ではマウス実験により、慢性炎症から放出されるシグナル伝達分子(messenger molecules)が細胞、それも特に DNA を傷つけ、それによって体組織の再生能力が損なわれるために老化が促進されることを明らかにしました。

マウス実験 - (おそらく遺伝子改造によって)炎症反応の抑制に関与する遺伝子を無効化したマウスを用いた実験。

シグナル伝達分子 - 急性的な状況 (感染症などが発生していて炎症が起こってしかるべき状況ということでしょう) において痛みと発熱を引き起こす伝達分子を指す。

老化の促進 - 慢性炎症の無いマウスの2倍の速度で老化したと思われる。
コメント
研究者は次のように述べています:

「老化の速度には個人差があります。 そして、老化が速い人では慢性炎症の活性化マーカー (たぶん、慢性炎症の存在を示す物質の血中濃度) が高い傾向にあることはこれまでにも知られていました。

今回の研究により、炎症が老化を促進している可能性が濃厚となりました。 炎症をコントロールすることによって老化を遅らせられるかもしれません」
別の研究者は次のように述べています:
「今回の研究では、(喉に効くことで有名な)イブプロフェンという安価な抗炎症薬を用いて、細胞の老化を逆転させ、体組織の再生能力を回復することにも成功しました」