慢性的なストレスでガンの転移が促進される理由と対策

(2016年3月) "Nature Communications" 誌に掲載されたモナシュ大学(オーストラリア)などの研究で、慢性的なストレスによりリンパ系がガン細胞を輸送する能力が増大することが明らかになりました。

慢性的なストレスがあるガン患者では、ガン細胞が速やか、かつ効率的に体内の他の場所に広がってしまうということになります。
リンパ系とガン細胞
リンパ系には免疫細胞を全身に輸送するという役目がありますが、ガン細胞もリンパ系により全身に運ばれます。
研究の方法

蛍光マーカーで印をつけた腫瘍細胞がリンパ管へと広がってゆく様子を、最新鋭のイメージング技術を用いて観察しました。

結果
リンパ系の活性化

ストレスによって腫瘍の周辺および内部に存在するリンパ管の数とサイズが増加し、さらにリンパ管の中をリンパ液が流れる速度も増大していました。 これらの変化によって、リンパ系が腫瘍細胞を全身に輸送する能力が向上してしまいます。

対抗策
高血圧治療にすでに用いられている薬物でガン患者の神経シグナル伝達を遮断したところ、リンパ管の機能がコントロールされてガン細胞の拡散が阻止されました。
解説
研究者は次のように述べています:
「慢性的なストレスにより交感神経系が刺激されるためにリンパ機能が活性化していました」
交感神経は 「闘うか闘争するか」 という状況に追い込まれた時に活性化します。 本来であれば、そういう状況で怪我をするのに備えて免疫細胞を全身に送るためにリンパ系が活性化するはずなのが、ガン細胞の拡散に利用されてしまうということなのでしょう。