シナモンに血糖値を下げる効果③

(2015年10月) "Nutrition Journal" に掲載されたペラデニア大学(スリランカ)のレビューによると、2型糖尿病の治療の一環としてシナモンを使えるかもしれません。

レビューの方法
このレビューでは合計10の臨床試験と複数の動物実験のデータを調査しました。 10の臨床試験のうち8つは1日あたり500mg~6gのシナモン(*)を40日から4ヶ月間にわたって水溶液または粉末で服用するというもので、残りの2つは糖尿病治療を受けたことのない糖尿病前症(†)に対するシナモンの効果を調べたものでした。

(*) 8つの試験のうちの7つでは Cinnamomum cassia(中国シナモン)、C. aromaticum、または C. burmanii という品種のシナモンが用いられました。 残りの1つで用いられた品種は不明です。 「本物のシナモン」であるセイロン・シナモン(C. zeylanicum。C. verum とも呼ばれる)を使用した試験はありませんでした。

シナモンには250種類ほどもが存在しますが、スパイスとして利用されているのはそのうちの4種類だけです(流通量が多いのは C. cassia と C. zeylanicum)。 シナモンは桂皮(ケイヒ)として漢方薬にも利用されています。

(†) 耐糖能障害(IGT)または空腹時血糖異常(IFG)。
結果

①シナモンのみで糖尿病の治療を行った患者、②糖尿病前症の患者、③治療前 HbA1c 値が高い患者のいずれにおいても血糖コントロールの改善が見られました。 動物実験においても、シナモンやシナモン抽出物(シンナムアルデヒド)によって空腹時血糖値・食後血糖値・HbA1c が低減していました。

メカニズム
シナモン療法により血糖コントロールが改善されるメカニズムの一部として研究チームは以下を挙げています:
  • 腸でのグルコシダーゼ阻害
  • インスリン受容体の自己リン酸化と脱リン酸化
  • GLUT-4(4型グルコース輸送体)受容体の合成とトランスロケーション
  • ピルビン酸キナーゼとホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼの変化による肝糖代謝の調節
結論

研究者は、既存の2型糖尿病治療に加えてシナモンを用いるのが有効かもしれないと結論付けています。 ただしこの結論は確定的なものではなく、複数の長期的な試験を行ってシナモンの有効性と安全性を確認する必要があります。

また、臨床試験で用いられることが多かった C. cassia にクマリンという発ガン性と肝毒性を有する物質が多く含まれている点も懸念されます。 C. zeylanicum(セイロン・シナモン)は クマリン含有量が少ないので、こちらの方が安全だと思われます。
スリランカの国名は 1948年まで「セイロン」でした。