(*) Batubara, I.; Suparto, I.H.; Sa’diah, S.; Matsuoka, R.; Mitsunaga, T. Effects of Inhaled Citronella Oil and Related Compounds on Rat Body Weight and Brown Adipose Tissue Sympathetic Nerve. Nutrients 2015, 7, 1859-1870.
研究の方法
この研究では、高脂肪のエサを与えられているオスのネズミを次の4つのグループに分けて、体重や交感神経の活性、血中脂質などを比較しました:
- 何もしないグループ
- シトロネラ・オイル(濃度2%)を吸入するグループ
- Rシトロネラール(濃度1%)を吸入するグループ
- βシトロネロール(濃度1%)を吸入するグループ
「Rシトロネラール」や「βシトロネロール」というのはシトロネラ・オイルの成分です。 今回の研究に使われたシトロネラ・オイルに占める割合は、Rシトロネラールが26%、βシトロネロールが6%でした。
研究チームが「香水・香料(perfumery)に一般的に用いられている成分はRシトロネラールとゲラニオールだ」と述べていることから、香水にはβシトロネロールはあまり含まれていない(エッセンシャル・オイルでないと含まれていない)のかもしれません。 ゲラニオールは今回のシトロネラ・オイルにも7.6%の割合で含まれていました。結果
5週間後の食事量と体重の増減は次のようなものでした(当初の食事量を20gとして計算):
グループ | 食事量(g) | 体重増加率(%) |
何もしない | 19.05 ± 0.95 | 34.41 ± 14.75 |
シトロネラ・オイル | 18.34 ± 1.66 | 30.12 ± 9.83 |
Rシトロネラール | 18.26 ± 1.74 | 34.71 ± 15.21 |
βシトロネロール | 15.49 ± 4.51 | 25.96 ± 11.27 |
4つのグループのうちでエサを食べる量が最も少なくなっていたのはβシトロネロールを吸入したグループで、体重の増加度もこのグループが最低でした(エサが高脂肪なので食べる量が少なくても太ることは太る)。
βシトロネロールを吸入したグループにおける食欲の減衰は交感神経の活性増大に付随していました。 βシトロネロールの匂いによって交感神経が興奮したときに食欲が落ちていたのです。
結論
今回の研究ではネズミの実験において、シトロネラ・オイル、特にその成分であるβシトロネロールに、交感神経の活性を増加させることによって食欲を抑制する効果が認められました。