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柑橘系果実のフラボノイドに、高脂肪の食事の悪影響を緩和する効果

(2016年8月) 米国化学会で発表されたパウリスタ州立大学(ブラジル)の研究によると、高脂肪の食事による肥満が健康に及ぼす悪影響を、オレンジやレモンなどの柑橘系の果物を食べることで軽減できる可能性があります。

研究の方法
数十匹のマウスを複数のグループに分けて、フラボノイドの一種で柑橘系の果物に豊富に含まれているフラバノンをエサに混ぜて与えるという実験を行いました。 マウスは次のようなグループに分けられました:
  1. 普通のエサを食べるグループ
  2. 高脂肪のエサを食べるグループ
  3. 高脂肪のエサにヘスペリジンを混ぜたものを食べるグループ
  4. 高脂肪のエサにエリオシトリンを混ぜたものを食べるグループ
  5. 高脂肪のエサにエリオジクチオールを混ぜたものを食べるグループ
ヘスペリジン、エリオシトリン、およびエリオジクチオールはいずれもフラバノンの一種です。 この3種類のフラバノンについては後述。
結果

高脂肪のエサだけを食べた2のグループでは、酸化ストレス(後述)が細胞に及ぼすダメージの指標であるTBARS(オバルビツール酸反応性物質)の血中濃度が80%および肝臓濃度が57%(1のグループよりも)増加していました。

これに対して、高脂肪のエサと同時にフラバノンも摂取した3~5のグループでは、2のグループに比べてTBARSの肝臓濃度が50~60%超低くなっていました(ヘスペリジンが50%で効果がもっとも少ない)。

エリオシトリンとエリオジクチオールについては、TBARSの血中濃度も(2のグループに比べて)50%近く下げる(*)効果がありました。
(*) 1のグループを基準にすると、高脂肪食だけを食べた2のグループではTBARS血中濃度の増加が+80%だったのが、エリオシトリンやエリオジクチオールを食べた4と5のグループでは+40%の増加で済んだということになるでしょう。

3のグループ(ヘスペリジン)と5のグループ(エリオジクチオール)では、肝臓のダメージと脂肪の蓄積も低減されていました。

コメント
研究者は次のように述べています:

「マウスに柑橘系果実に由来するフラバノンを与えても体重は減りませんでしたが、酸化ストレス・肝臓のダメージ・血中脂質が低減されて健康になっていました」

「太ってはいないけれど食生活が高脂肪で心血管疾患(*)・インスリン抵抗性(†)腹部脂肪などが生じるリスクが高いという人が柑橘類を食べる場合にも、今回示されたフラバノンの有益性が発揮されると思われます」

(*) 心臓病や脳卒中。

(†) 糖尿病の兆候。
解説
肥満とROS

高脂肪食を食べると太りますが、脂肪細胞が活性酸素種(ROS)を過剰に作り出します。 加えて、肥満者では脂肪細胞が肥大化しているため、作られるROSの量が増加します。

ROSは体が病原菌にさらされたときなどに免疫系が作り出す有用な物質ですが、ROSが過剰に生産されて抗酸化物質の量を上回ると酸化ストレスが生じ、DNA・タンパク質・脂質にダメージが生じます。

肥満により心臓病・肝臓病・糖尿病などのリスクが増加するのも、肥満に起因する酸化ストレスと炎症が原因であると考えられています。

フラバノン

柑橘系の果物には大量の抗酸化物質が含有されており、そのうちの1種がフラバノンと呼ばれるフラボノイドです。 これまでの研究では生体外実験や動物実験により、柑橘系の果物に含まれているフラバノンに酸化ストレスを軽減する効果のあることが示されています。

今回の研究に登場した3種類のフラバノンの概要は次の通りです:
  • Wikipediaウィキペディアによると、ヘスペリジンはミカンや、はっさく、ダイダイ、レモン、ライムなどの柑橘類(果皮と薄皮)のほかペパーミントにも含まれています。
  • 三重大学の論文によると、エリオシトリンは柑橘類の中でもレモンとライムの果皮に豊富に含まれ、柑橘類に含まれる他のフラボノイドよりも強力な抗酸化作用を有しています。 エリオシトリンはゼブラフィッシュやマウスを用いた実験で一定の安全性が確認されています。
  • Wikipedia によると、エリオジクチオールの配糖体がエリオシトリンということになります。 エリオジクチオール自体は食用の植物には含まれていないようです。