柑橘類に食道から胃の上部にかけてのガンを予防する効果?

(2016年8月) "Cancer Causes & Control" 誌に先月掲載されたインペリアル・カレッジ・ロンドン(英国)などの研究(メタ分析)によると、柑橘系の果物が食道や噴門部(*)のガンの予防に有効かもしれません。出典: An update of the WCRF/AICR systematic literature review on esophageal and gastric cancers and citrus fruits intake
(*) 胃が食道につながる部分。
メタ分析の方法
柑橘類(*)の摂取量と食道ガンや胃ガンの発症リスクとの関係を調べた9つの研究のデータを分析しました。 データの量は、食道ガンが合計750万人年(†)ほどで、胃ガンが合計2千3百万人年ほどでした(‡)

(*) 研究により異なるが、レモン、グレープフルーツ、オレンジ、橘(マンダリン・オレンジ)、ミカンなど。 ジュースも含む

(†) 人年=患者数×年数

(‡) 1つの研究で食道ガンと胃ガンの発症リスクを同時に調べたりもしているので、人年の数字は「のべ」の数字ということになります。
結果
食道ガン
柑橘類の摂取量が最も多い(*)グループは摂取量が最も少ないグループに比べて、食道ガンのリスクが23%低くなっていました。
(*) 摂取量の多い少ないに関する基準は研究によりまちまちで、1日あたりの摂取量(最大の場合で数十グラム~150グラム)を基準にしているケースや、1週間あたりに柑橘類を食べる頻度(最大の場合で週に7回以上)を基準にしているケースなどがあります。

また、柑橘類を1日あたり100g食べるごとに食道ガンのリスクが14%下がるという計算にもなりましたが、こちらについては統計学的な有意性が微妙でした。

胃ガン

胃噴門部ガンに関してのみ、柑橘類の摂取量が最も多いグループは摂取量が最も少ないグループに比べて、胃噴門部ガンのリスクが38%低くなっていました。 噴門部以外の胃ガンでは、柑橘類の摂取量と発症リスクとの間に関係が見られませんでした。

柑橘類を1日あたり100g食べた場合のリスク低下幅は、胃噴門部ガンで-25%というものでしたが、これについても統計学的な有意性が食道ガンの場合以上に微妙でした。

結論

研究チームは「柑橘類の摂取によって食道ガンと噴門部ガンのリスクが低下する可能性があるが、今後の研究で確認が必要である」 と述べています。

解説
柑橘類をよく食べる人で食道ガンや噴門部ガンのリスクが低下するとすれば、それは柑橘類に豊富に含まれるビタミンC、そしてフラボノイドやカロテノイド、リモノイド(*)などの成分のお陰かもしれません:
  • ビタミンCには粘膜組織を酸化ストレスから保護する効果や、発ガン性物質であるニトロソアミンが胃で形成されるのを阻害する効果があります。
  • フラボノイドなどのポリフェノール類に、DNAを保護する効果や、細胞の成長を制御する効果、アポトーシスを誘導する効果のあることを示す研究が存在します。
(*) リモノイドは柑橘類に含まれる成分で、抗がん・抗菌・抗ウイルスなどの効果が期待されています。