この研究では、米国在住の白人(皮膚ガンのリスクが高い)男女9万5千人超(女性が60%ほど)を24~26年にわたって追跡調査したデータを分析しました。 追跡期間中には食事内容に関する調査は2~4年ごとに行いました。
- 摂取回数が2~4回の人ではメラノーマのリスクが1.10倍
- 摂取回数が5~6回の人ではメラノーマのリスクが1.26倍
- 摂取回数が7~10.5回(*)の人ではメラノーマのリスクが1.27倍
- 摂取回数が11.6回以上の人ではメラノーマのリスクが1.36倍
(*) 原文では「1.5回/日」。 表記の都合上、週あたりに換算しました。
(†) 同じく原文では「1.6回/日」この結果は、日光にさらされている時間や日焼け歴などを考慮したうえでのものです。
食品別の分析では、グレープフルーツ果実をまったく食べないグループに比べて、食べる回数が3回/週のグループではリスクが1.41倍に増加していました。
その一方で、グレープフルーツ・ジュースの摂取量とメラノーマのリスクとのあいだには関係が見られませんでした。
オレンジジュースを飲む頻度が週に1回未満というグループに比べて、7回/週飲むというグループではメラノーマのリスクが1.25倍ほど高くなっていました。
その一方で、オレンジの果実の摂取量とメラノーマのリスクとのあいだには関係が見られませんでした。
柑橘系果実に含まれている物質のためにメラノーマのリスクが増加している可能性が考えられます。 柑橘系果実にはフラノクマリン類が含まれていますが、フラノクマリン類は光によって活性化して植物性光線皮膚炎の原因となります。 柑橘系(ライム)の果物の汁が肌に付き、それが日光にさらされたために火傷になるという事故も報告されています。
したがって、柑橘系果実の摂取によりメラノーマのリスクが増加するにしても、柑橘系果実の摂取のみにより増加するのではなく、日光などの紫外線との組み合わせによって増加するのだと考えられます。
「今回の結果をもって柑橘系の果物の摂取を控えるべきであると主張するつもりはありません。 柑橘類にはビタミンCなどの健康な成分の供給源として重要です」
「ただ、フラノクマリン類を含有する一部の果物や野菜を食べたのち数時間は特に日光(紫外線)に気を付ける必要があります。 翌日と翌々日にも日光に気を付けた方が良いかもしれません。 フラノクマリン類の体内での半減期が48~72時間だからです」