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慢性腎疾患患者の慢性炎症低減にオメガ3脂肪酸が有効?

(2015年6月) "Clinical Nutrition" 誌に掲載された西オーストラリア大学などの研究で、慢性腎疾患(CKD)の患者の炎症がオメガ3不飽和脂肪酸のサプリメント服用により軽減されるという結果になりました。出典: Fatty acids supplements help offset inflammation by Denise Cahill)

CKDと慢性炎症

CKD患者では心血管疾患(心臓病や脳卒中)のリスクが増加しますが、その一因となるのが慢性炎症です。 腎機能の低下に伴い冠動脈疾患のリスクが顕著に増加しますし、ステージ5で血液透析を受けているCKD患者の50%超は心血管疾患が原因で死亡します。

研究者は次のように述べています:
「慢性腎疾患でも心臓疾患でも慢性炎症が特徴的に見られます」
研究の方法

この研究では25~75才の慢性腎不全患者85人を被験者とする二重盲検試験を行いました。

試験では、被験者を次の4つのグループに分けました:
  1. オメガ3脂肪酸のサプリメントを毎食後に服用するグループ。 服用量は1g×4回/日。
  2. コエンザイムQ10のサプリメントを服用するグループ。 服用量は200mg/日。
  3. オメガ3脂肪酸とコエンザイムQ10の両方を服用するグループ。
  4. プラシーボとしてオリーブオイル(1日あたり4g)を服用するグループ。
そして、サプリメント服用期間の前後でSPM(Specialised Pro-resolving Lipid Mediators)の血中量を測定しました。
SPM
SPMはオメガ3脂肪酸から体内で作られ血中に存在する物質で、炎症を改善する作用があります。 今回の試験で測定したSPMおよびSPM前駆体は 18-HEPE、17-HDHA、RvD1、17R-RvD1、およびRvD2 です。
結果

85人のうち試験終了まで残っていたのは74人でした。 オメガ3脂肪酸のサプリメントの服用によりSPMの血中濃度が増加していましたが、コエンザイムQ10の服用では増加していませんでした。

オメガ3脂肪酸の服用によりレゾルビンEの前駆体である 18-HEPE とレゾルビンDの前駆体である 17-HDHA と、SPMである RvD1 が増加していました。 他のSPM(17R-RvD1 と RvD2)はオメガ3脂肪酸のサプリメントを服用したグループでも増加していませんでした。
レゾルビン
体内でDHAやEPAから作られる化合物で、炎症を抑制する作用があると考えられています。
研究者は次のように述べています:

「今回の結果から、オメガ3脂肪酸のサプリメントの長期服用がCKDの進行に関与し悪化させる低度の炎症(慢性炎症)の低減に有効である可能性が示唆されます」

「ただし、オメガ3脂肪酸のサプリメントの腎臓への影響を調べるために今回よりも長期間に及ぶ研究が必要です」