慢性腎疾患 ⇒ 尿素 ⇒ 2型糖尿病

(2016年8月) 2型糖尿病が慢性腎疾患(CKD)の原因となることはよく知られていますが、"Journal of Clinical Investigation" に掲載されたモントリオール大学の研究によると、逆にCKDが2型糖尿病の原因となることもあると考えられます。

原因は尿素
CKD患者の半数ほどに血糖値の異常が生じることは以前から知られていましたが、今回の研究ではマウス実験やヒトの膵臓細胞を用いた実験において、腎機能が損なわれたときに血中に蓄積する尿素によりβ細胞(*)のインスリン分泌能力が損なわれることが示されました。
(*) 膵臓に存在しインスリンを分泌する。

尿素は窒素性の老廃物で、健康な人であれば腎臓で除去されて尿中に排泄されます。 腎機能が損なわれたCKD患者は尿素を血中から除去できなくなります。 これまで尿素は無害な物質であると考えられてきましたが、今回の研究によると、CKD患者においてインスリン分泌が損なわれる直接的な原因が尿素です。

β細胞の核となる部分にはPFK1(ホスホフルクトキナーゼ1)と呼ばれるタンパク質が存在しますが、尿素の血中濃度が上がるとPFK1の機能に異変が生じて、β細胞のインスリン分泌能力が損なわれます。

実用性
今回の結果が生身の人間にも当てはまるとすれば、CKD患者は抗酸化物質を服用することで、尿素の増加に伴う酸化ストレスからβ細胞を保護して糖尿病の発症リスクを抑制できるかもしれません。