ココアが認知症に効果

(2012年8月) "Hypertension" 誌に掲載された研究によると、フラバノールという抗酸化物質が高齢者の脳の健康にとって有益です。
フラバノール
フラバノールとは、お茶・ブドウ・赤ワイン・リンゴ・ココア製品などに含まれる物質で、認知症のリスク軽減との関係が示唆されています。 フラバノールは、直接的には、ニューロンを損傷から保護し、代謝を改善し、およびニューロンと記憶を司る分子構造との相互作用を改善(意味がわかりませんね)することで脳の組織と機能に作用している可能性があり、また間接的には、脳の血流改善に寄与している可能性があります。
研究の方法
この研究では、軽度認知障害(MCI)が見られる90人の高齢者を3つのグループに分けて、8週間にわたってココア乳飲料を飲んでもらいました。
軽度認知障害(MCI)
MCI とは、記憶力・言語能力・思考力・判断力などの認知能力に軽度の障害が見られる症状のことで、アルツハイマー病に進行する可能性もあります。 毎年、70歳以上の人の6%が MCI を発症しています。

それぞれのグループには、抗酸化物質であるフラバノールの含有量が異なる(多い - 990mg、普通 - 520mg、少ない - 45mg)ココアを飲んでもらいました。 この期間中、90名の高齢者たちは、研究用のココア以外にはフラバノールを摂取しませんでした。

結果
8週間の後に、実行機能、ワーキング・メモリ、短期記憶、長期記憶、処理速度、認知能力全般の各テストを行ったところ次のような結果になりました:
  • フラバノール含有量が「多い」または「普通」のココアを飲んだグループでは、視覚的な刺激と運動機能を関連付ける能力、ワーキングメモリ、作業切り替え、言語記憶が著しく向上していた。
  • フラバノール含有量が「多い」のココアを飲んだグループでは、「少ない」のココアを飲んだグループと比較して、全般的な認知能力が著しく向上していた。
  • フラバノール含有量が「多い」または「普通」のココアを飲んだグループで、インスリン抵抗性(インスリンの効き難さ)、血圧、酸化ストレス(活性酸素によるストレス)が下がりました。 (各認知能力の向上分合計の40%ほどが、インスリン抵抗性の減少に由来するとのことです)
ココアが認知症に効くメカニズム
フラバノールによる認知能力の改善は、主にインスリン感受性(インスリンの効き易さ)の向上に起因している可能性があります。 認知能力の改善が、ココア・フラバノールによる直接の作用なのか、心臓血管の機能が改善したことによる副次的な効果であるのかは未明です。
"Journal of Cellular Biochemistry" (2013年4月)に掲載された研究によると、ココアに含まれるポリフェノールがBDNF(脳由来神経栄養因子)生存経路に作用して神経細胞死を防ぐことで認知症予防効果を発揮している可能性があります。
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この研究は、「Mars, Inc.」というココア・パウダーのメーカーによる資金提供で行われました。
フラバノールとポリフェノール

フラバノールとポリフェノールという言葉が出てきましたが、両者の関係を調べてみると、フラバノールはフラボノイドの一種で、フラボノイドはポリフェノールの一種ということのようです。

したがって、範囲が大きい方から小さい方に、ポリフェノール > フラボノイド > フラバノール という順になります。

ポリフェノールは植物が体内で作り出す物質なので、フラボノイドもフラバノールも全て、植物が作り出す物質ということになります。 フラボノイドには、フラバノール以外にも、ブルーベリーに含まれていることで有名なアントシアニンや、緑茶に含まれることで有名なカテキン、大豆に含まれることで有名なイソフラボンなどがあります。 ブルーベリー、緑茶、大豆、チョコレートは、どれも植物ですね。

そして、ポリフェノールがどれも抗酸化物質であるようなので、フラボノイドもフラバノールも抗酸化物質ということになるのでしょう。