1日に3~5杯のコーヒーが冠動脈石灰化の防止に効果

(2015年3月) "Heart" 誌オンライン版に掲載された韓国の研究で、コーヒーを1日に3~5杯飲む人は冠動脈の石灰化(カルシウム沈着)が少ないという結果になりました。 冠動脈の石灰化が進んでいると心臓発作のリスクが増加します。

過去の類似研究

過去の研究にはコーヒー飲用によって心臓疾患のリスクが増加する可能性を示唆するものがありましたが、最近のメタ分析(36の研究のデータに基づく)では適量のコーヒー飲用により心臓疾患のリスクが低下するという結果になっています。

研究の方法

今回の研究では、心臓疾患の兆候が現れていない 25,138人の男女(平均年齢41才)のデータを用いて、コーヒー飲用量と冠動脈カルシウム(CAC)スコアとの関係を調査しました。 CACスコアは冠動脈アテローム性動脈硬化の初期指標です。 アテローム性動脈硬化は心臓発作や脳卒中のリスク要因となります。

コーヒーの1日の飲用量に応じて、データを次の5つのグループに分けました:

  1. 全く飲まない
  2. 1杯未満
  3. 1~3杯
  4. 3~5杯
  5. 5杯以上

そして、運動量や、喫煙習慣、飲酒習慣、BMI、心臓疾患の家族歴、野菜・果物・赤身肉・加工肉の摂取量、教育水準など心臓疾患のリスクに影響する要因を考慮したうえでデータを分析しました。

結果

データ全体において、検知される程度のCACが存在していたのは13.4%、コーヒーの平均飲用量は1日あたり1.8杯でした。

コーヒーを全く飲まないグループと比較したときの各グループのカルシウム比(*)は次のようなものでした:

  1. 1杯未満のグループ - 0.77
  2. 1~3杯のグループ - 0.66
  3. 3~5杯のグループ - 0.59
  4. 5杯以上のグループ - 0.81
(*) コーヒーを全く飲まないグループのCACスコアを1とした場合の数字でしょう。 つまり例えば、カルシウム比が0.77である1杯未満のグループであれば、コーヒーを全く飲まないグループに比べてCACスコアが23%少ないということだと思います。 3~5杯のグループであれば41%少ない。

年齢・性別・喫煙習慣・飲酒習慣・BMI・糖尿病の有無・高血圧の有無・高コレステロール血症に応じたサブグループでの分析においても同様の結果でした。

理由
研究者によると、コーヒー常用とCACスコアとの関係には、2型糖尿病が関与している可能性があります。 2型糖尿病はアテローム性動脈硬化の大きなリスク要因ですが、コーヒー飲用によってインスリン感受性(糖尿病患者では感受性が鈍る)とβ細胞(膵臓に存在しインスリンを作り出す)の機能が改善される可能性が示唆されています。
つまり、こういうわけでしょうか: コーヒーを毎日飲む ⇒ インスリン感受性とβ細胞の健康が維持される ⇒ 血糖値が低く保たれ血液が健康的に保たれる ⇒ アテローム性動脈硬化(冠動脈の石灰化を含む)のリスクが下がる。
ただし、コーヒー飲用によってインスリン感受性とβ細胞が改善されることすら現時点では十分に確認されておらず、研究者も「今回の結果の再確認とメカニズム解明のための研究が今後必要である」と述べています。