コーヒーに糖尿病を予防する効果(3/4)

(2014年4月)"Diabetologia" 誌オンライン版に掲載されたハーバード大学の研究では、コーヒー飲用量の変化と糖尿病リスクとの関係を調べています。

研究の方法

この研究では、3つのデータベース(データの期間は15年間のものが1つと、20年間のものが2つ)から入手した女性約10万人および男性約2万8千人のデータを分析しました。

データは2~4年ごとに実施されたアンケートに基づくもので、アンケートの質問項目に含まれていたのは、コーヒー(カフェイン入り、カフェイン抜きのデカフ)と紅茶(カフェイン入り)の飲用量や、食事、生活習慣、健康状態、慢性疾患の有無などでした。 研究期間中に発生した糖尿病の件数は 7,269件でした。

結果
データを分析したところ、カフェイン入りコーヒー(ブラック、あるいは少量の砂糖/ミルク入り)の摂取量を1杯/日を超えて増やしたグループ(中央値は 1.69杯/日)では、摂取量を増やさなかったグループに比べて、次の4年間のうちに2型糖尿病になるリスクが11%減少していました。
「1杯」の定義
この研究では8オンスを1杯と定義しました。 1オンスは30cc程度ですから、「1杯」は240cc程度ということになります。 普通のコーヒーカップ(うちにある3種類のカップで調べました)の場合、150ccも入れるとほぼ一杯になりますから、240ccは下手をすればカップ2杯分の量になります。

逆に、カフェイン入りコーヒーの摂取量を1杯/日を超えて減らしたグループ(中央値2杯/日)では、(摂取量を増やさなかったグループに比べて、次の4年間のうちに)糖尿病のリスクが17%増加していました。

また、研究期間の最初から最後まで一貫してコーヒーの飲用量が多かった(3杯/日以上)グループで糖尿病のリスクが最低となっており、コーヒーの飲用量が一貫して少なかった(1杯/日以下)グループに比べて37%リスクが低下していました。

デカフ・コーヒーと紅茶

一方、デカフ・コーヒーやカフェイン入りの紅茶では、このような摂取量の変化と糖尿病リスクとの関係は見られませんでした。

デカフ・コーヒーは、研究開始の時点では摂取量の違いによる糖尿病リスクの差が見られたのですが、飲用量の変化による糖尿病リスクの変化は見られませんでした。

紅茶に関しては、研究開始の時点についても、その後についても、糖尿病リスクとの関係が一切見られませんでしたが、この点に関して研究者は、「紅茶を飲む人の人数が比較的少なかったために統計的な信頼性は低い」と述べています。

解説

コーヒー飲用量と糖尿病リスクの関係についての原因と結果が反対であって、糖尿病のリスクと関わる高血圧や、高コレステロール、心血管疾患、ガンと診断された人でコーヒーの飲用量が減っているという可能性もありますが、心血管疾患やガンと診断された人のデータを除いても、上記の結果と大差ありませんでした。

また、動物実験やヒトを対象に行われた小規模な試験では、コーヒーとインスリン抵抗性(インスリンが効き難いこと。 糖尿病の兆候)の間に因果関係が存在することが確認されています。

コメント
研究者は次のように述べています:

「コーヒーのどの成分が2型糖尿病のリスク低下に寄与しているのかは不明ですが、2型糖尿病のリスク低下は抗酸化物質と他の成分との組み合わせによるものだと推測しています」

「コーヒーの飲用習慣の変化が糖尿病リスクに与える影響は、比較的短期間のうちに現れるようです」

「コーヒー飲用と糖尿病リスク低下の間には用量反応関係が存在するようです。 すなわち、コーヒーを飲めば飲むほど糖尿病のリスクが低下すると考えられます。 1日にコーヒーを3~5杯も飲んでいた人では、2型糖尿病のリスクが有意に減少していました」

「ただし、特にカフェインに弱い人はコーヒーの飲みすぎに気を付けましょう。 カフェインには、眠れなくなる、心拍数が増加するなどの副作用があります」 参考記事: カフェインを過剰摂取したときの対策
留意点

この研究者は過去に、Nestec Ltd というコーヒーも販売している食品会社の資金援助を受けていたことがあります。