コーヒー習慣で高血圧のリスクが下がるのは女性だけ?

(2018年1月) "Clinical Nutrition" 誌に掲載されたナバラ大学(スペイン)の研究で、女性に限りコーヒーを飲む習慣があると高血圧であることが少ないという結果になっています。

研究の方法

高血圧ではない男女1万3千人超を対象に、コーヒーの飲用習慣や食生活などを調べたのち平均9年間にわたり高血圧の発症状況を追跡調査しました。

結果

追跡期間中に 1,757人が新たに高血圧と診断されました。

男女総合の分析ではコーヒー飲用習慣と高血圧になるリスクとの間に関係がみられませんでした。

男女別に分析すると女性に限り、コーヒー(*)を毎日2杯以上飲むグループはコーヒーを飲む習慣がないグループに比べて高血圧になるリスクが26%低くなっていました。 食生活が乱れている(†)女性に限ると、この数字は42%でした(食生活が乱れているほうがコーヒーの高血圧予防効果が強い可能性)。

(*) カフェインを除去していないものに限る。

(†) 食生活がメディテラネアン・ダイエットからかけ離れている。

関連情報

これまでの多くの研究では、女性に限らず男性でもコーヒーを飲む習慣があると高血圧になることが少ないことが示されています。

3つのメタ分析

  • 2017年8月に "Nutrients" 誌に発表されたメタ分析でも、2016年11月までに発表された6つの前向き研究のデータ(20万人超)を分析して、コーヒーを毎日7杯も飲む場合にはコーヒーを飲む習慣がない場合に比べて高血圧になるリスクが9%低いという結果になっています。 コーヒー飲用量が1杯/日増えるごとに高血圧になるリスクが1%低下するという計算になります。
  • 2017年12月に "European Journal of Nutrition" に掲載されたナポリ大学のメタ分析でも、コーヒーを毎日3杯以上飲む習慣がある場合にはコーヒーを飲む習慣がない人に比べて高血圧のリスクが3%低いという結果になっています。
  • 2018年1月に "Journal of Human Hypertension" に掲載されたメタ分析でも、合計24万人分のデータを分析し、高血圧のリスクがコーヒーを飲む習慣が無い場合に比べてコーヒーを2杯/日飲む場合には3%4杯/日飲む場合には5%6杯/日飲む場合には8%8杯/日飲む場合には10%、それぞれ高血圧のリスクが低いという結果になっています。 コーヒーを飲む量が1杯/日増えるごとに2%ほど低いという計算になります。

この3つのメタ分析に用いられた研究データは恐らく相当に重複していますが、「コーヒーを大量に飲む習慣があると高血圧のリスクが少し低い」という点で共通しています。

コーヒーの飲み過ぎに注意

ただ、「毎日7杯」というコーヒー飲用量は飲み過ぎでしょう。 コーヒーには心臓病予防や糖尿病予防などの健康効果が期待されていますが、そうした効果を調べた研究で適量とされるのはせいぜい5杯/日までです。 コーヒーの適切な飲用量が米国人や英国人では3杯/日だが日本人では2杯/日ではないかというデータもあります。

"American Journal of Clinical Nutrition" に掲載された国立がん研究センターの研究では、コーヒー飲用量が3~4杯/日のときに総死亡リスク(死因を問わない死亡リスク)が最低(-24%)で、飲用量が5杯/日以上になるとリスク低下幅が小さくなる(-15%)という結果になっています。 この研究では40~69才の日本人男女9万人超を平均18.7年間にわたり追跡調査しました。

すでに高血圧の人

"International Journal of Cardiology"(2016年)に掲載されたパドヴァ大学(イタリア)の研究では、すでに高血圧になっている場合にはコーヒーをたくさん(3~4杯以上/日ほど)飲む習慣があると心臓発作や脳卒中のリスクが増加することが示されています。

ただし、運動習慣があればコーヒー好きの高血圧患者でも心臓発作や脳卒中のリスクが増えないとする研究もあります。 運動習慣にカフェインが循環器系に及ぼす悪影響を相殺する効果があるのではないかと考えられます。